bm-koishikeribu(yui)
M-CHARI-METAL

『物語の物語Ⅰ』

【物語の物語 ① -Tales of The Destinies-】

YUI 「由結ね。最近、“糸”が見えるの。以前見えなかった“糸”が。」
MOA 「“糸”??」
SU- 「いつから?? 眼科行った?」
YUI 「すぅちゃんと最愛はまだ見えてないのか。そっか。・・・由結が見え始めたのは、METAL RESISTANCEのジェケ写を撮影してからね。そして調べてたら、その“糸”が何かに気付いたの。そう、思い出してしまったの。」
MOA 「まだ見えてない? 思い出す?? 最愛とすぅちゃんにも見える様になるの?」
YUI 「うん。絶対に見える様になるよ。」
SU- 「言い切れるの?」
YUI 「うん。言い切れる。それが運命だからね。・・・意図的だったのかな?偶然だったのかな?・・・やっぱり繋がってた。神話の時代から。」
MOA 「“糸”だけに“意図的”ってダジャレw? で、何の事を言ってるのよぉ?」
SU- 「なんか、面白そう♪ どうやったら すぅ にも見える様になる??」
YUI 「見える様になりたいの? まだ見えなくてもいいのかもよ?」
MOA 「ゆいだけ見えるって、ズルくない?」
SU- 「ズルい! ズルい!!」
YUI 「騙してる様で気が引けるけど・・・。 じゃー、手の平を横に向けて、手を出して。すうちゃんが上で、最愛がその下ね。」

 すぅと最愛は、由結が言う通りに手を前に出した。すぅは前に習えの様に両手をピンと伸ばし、「これで良い?これで良い?」としきりに由結に聞いている。最愛は、すぅの伸ばした右手の下に右手をそっと添えて、「なにコレ?」と言いながらニヤニヤ笑っていた。
 由結は、2人の正面に立ち、握った右手を2人の手の20センチ程上に浮かせた。まるで何かを握っている様だった。

YUI 「・・・ごめんね。由結の役目が辛いから。・・・だから、由結を助けて。・・・おねがい。」
MOA 「由結を助けるのは、当たり前じゃん!!」
SU- 「・・・由結、泣いてるの? もちろん、助けるよ!!」
YUI 「・・・ありがとう。そして、ごめんなさい。・・・・・・開いた右手を握って。」

 すぅ と最愛は、真剣な顔になり、静かに手の平を閉じていった。

 すぅ と最愛が手の平を閉じた途端に二人の手が輝きだし、天井から床まで光り輝く1本の線が現れた。熱量はなく、光を放ちながらフワフワとその線は揺れている。
 その光は、拍動しているかの様に強弱を付け輝いていた。

MOA 「えっ?! なに?! うそっ?!」
SU- 「ホントだ! “糸”が出てきた♪ えへへっ♪ 」

 驚いた最愛は、その糸から手を離した。すると、スゥーっと光が失われて行き、シルクの様な白く半透明な糸の様な物が現れた。
 光は完全に失った訳ではない様だ。僅かに強弱をつけ光の拍動をしていた。

YUI 「3人で触るとこの“糸”は輝くんだぁ。へぇーっ。」
MOA 「手を離したのに見えてる。この糸は何?っていうか光る血管??光が上へと流れている様に見えるよ。 この“糸”は見え続けるの??」
SU- 「綺麗だねぇ♪」

 3人共に糸から手を離し、一歩づつ糸から離れた、そして3人の中間で天井から垂れ下がる輝く糸を眺め続けた。最愛が言う様に血管の様に下から上へと拍動と共に光を押し上げている様だった。由結は無表情で輝く糸を眺める。最愛は少し不安な表情で輝く糸を眺める。すぅはワクワクした表情で輝く糸を眺めていた。
 不意に、由結が動いた。後ろに下がって行く。その動きに合わせる様に輝く糸も音も無く動いて行く。さらに由結が右に移動して行く。輝く糸も少し右に動く。
 どうやら、糸は3人の中間の位置をキープしている様だ。
 由結が、右手を胸の位置まで上げ、手の平を輝く糸に向け右手を伸ばす。
 すると、3人の中央に有った輝く糸がその場から消えていた。いや、すぅ と最愛には消えた様に見えたが、消えた訳ではなかった。移動したのだ。瞬間的に由結の右手で掴める位置で輝く糸はフワフワと天井から垂れ下がっていた。

YUI 「なるほどね。」

 そう言うと、由結は右手を下ろし、すぅと最愛の所に輝く糸と共に戻ってきた。

MOA 「何が『なるほど』なのよ。この“糸”は何? 思い出したって何をよ。」
YUI 「思い出したって言っても、その“糸”が何かと、由結の役割だけなの。ホントに思い出したのはね。」
SU- 「で、この“糸”は何? 綺麗だねぇ。」
YUI 「この“糸”と役割の話しの前に、METAL RESISTANCEの収録曲について話しがしたいの。」
SU- 「この“糸”と関係があるの?」
YUI 「うん。セカンドアルバムの収録曲について調べてたら思い出したから。そして、調べる内に色々と繋がってきて仮説を立ててみた。その仮説も今は予想から確信に変わりつつある。」
MOA 「METAL RESISTANCEの世界観を自分たちの物にする為に、歌詞や曲調に付いて自分達でも調べようって言ってたね。」
SU- 「うん。曲毎に担当を決めてその世界観を調べたら、お互いに発表し合おうって話だったよね。 すぅ が担当の曲、まだ調べてないや。 てへっ。」
MOA 「ったく、すぅちゃんったら。っで、由結が調べた曲って事は、『Amore - 蒼星 -』がそうなの?」
YUI 「その曲とは違う。由結が担当で調べた曲じゃないの。“Tales of The Destinies”について調べた? 最愛の担当でしょ?」
MOA 「モチのロンよ。 『運命の物語』でしょ? まだ曲名しか調べてないや。 どんな物語なんだろう? で、この曲を由結が調べてて何かを思い出したの?」
YUI 「やっぱりね。 そう訳しちゃったか。 その訳はちょっと間違いだね。 そう、時間があったから由結もその曲名について調べたの。」
SU- 「えっ? すぅ も最愛を手伝って翻訳サイトを5か所も使って調べたけど、『運命の話』か『運命の物語』ってしか出てこなかったよ。 なのに間違いなの??」
YUI 「うん。運命は“Destiny”なの、運命の物語なら“Tales of Destiny”になるのよ。」
MOA 「あぁ、そんなゲームのタイトルあったなぁ。 やった事あるわ。 1997年12月23日販売のゲームだったかな。」
SU- 「おっ?? すぅ が生まれた直後じゃん! 運命感じちゃう♪ ってそんな古いゲームやったの?」
MOA 「うん。 名作RPGだったよ。」
YUI 「話を戻していい? でね、じゃあ“The Destinies”って何?って事なのよ。」
MOA 「“Destiny”と“The Destinies”かぁ。」
SU- 「もしかして、複数形??」
YUI 「さすが、英語が一番得意な すぅちゃんね。そう、“Destinies”は“Destiny”の複数形なのよ。」
MOA 「複数形かぁ・・・。運命達? 複数の運命? 人々の運命?」
YUI 「ここで大事なのが、冠詞の“The”が付く事。」
SU- 「“The”は名詞の冠詞だから、“The Destinies”と呼ばれる何かがあるの?」
YUI 「うん。・・・いるの。」

 最愛とすぅは『いる』という言葉に固まった。運命の種類と思っていたからだ。由結の次の言葉を待つが、言葉は出て来なかった。『いる』と言ったまま下を向いてしまっていた。
 静寂の中、アミューズのダンスレッスン室の蛍光灯の1本が、ビビッという音と共に僅かに点滅した。

MOA 「続きを話して。 由結が調べた事、そして立てた仮説の事。 あと、何を思い出したのかも。」
SU- 「うん。助けるって言ったじゃん。 早く話しなよ。 すぅ はワクワクしてるよ♪」
YUI 「話したら、たぶん戻れなくなるよ。 それでもいいの?」
SU-/MOA 「道なき道を突き進むのがBABYMETALじゃん♪ 戻るなんてありえない! 前進あるのみだよ!!」
YUI 「ふぇぇぇぇん。すぅちゃん、最愛ぁぁ。」
MOA 「ほらほら、泣くな。 で、誰が『いる』の?」

 由結は左の袖で涙を拭った。言おうとして口を開きかけるが、また閉じる。眉を寄せ、ゴクリと唾を飲み込む。
 そして、聞こえるか聞こえないかの小さな声で、一つの単語を呟いた。

YUI 「・・・・・モイラ。」


【物語の物語 ② -モイラ-】

 静寂が空間を支配する。
 その中で、輝く糸はフワフワと揺れ続けていた。
 由結が発した言葉をすぅと最愛は脳内検索するが、二人には聞いた事の無い言葉だった。

MOA 「えーと、誰それ??」
YUI 「・・・・・私達。」
SU- 「うーーんと、だから誰?」
YUI 「だから・・・・・私達。」
MOA 「何言っちゃってるのかなぁ? この子はまったく。 モスラがすぅちゃんで、ウチらが双子のピーナッツって事かい? 小美人って、最愛はそんなに、ちっちゃくないもん!!アハハ♪」
SU- 「すぅがモスラ役かーーい?! この糸は、すぅが吐いた糸かーーーい!!アハハ♪」
YUI 「・・・モスラじゃないよ。モイラだよ。モイは最愛と由結でモイモイのモイかもね。ラはすぅちゃんかもね。」
MOA 「『ラララのすぅちゃん』の“ラ”ってか??」
SU- 「『レレレのおじさん』みたいに言うな!!」
YUI 「冗談じゃないよ。 冗談じゃ“糸”なんて見えないよ。 ・・・そうか。 “ラ”はすぅちゃんなのか。」
MOA 「“モイ”は最愛の“モ”と由結の“イ”でいいとして、だから“ラ”って何よ? ホント由結ったら冗談ばっか。」
YUI 「そうだったんだ。 だから、すぅちゃんなんだ。 2年のズレも何か意味があるのかも。きっとそうだ。」
MOA 「何を一人で納得してるの?」
YUI 「“ラ”ってね、特別な音なのよ。」
SU- 「音?」
YUI 「“ラ”はね、始まりの音なの。運命が始まる“始まりの音”なのよ。」
MOA 「だから、何の事を言ってるの?」
YUI 「偶然にしては出来過ぎてる。 でも・・・ドレミの音階はね、世界中でドレミって言うだよ。英語でもフランス語でもイタリア語でも。 でね、7音階は“ラ”の音から始まったの。 ギリシャ時代に。 そうだ!! 由結が導いてあげる。 二人ともこの輝く糸を掴んで!」
MOA 「えっ?えっ?」
SU- 「つーかんだ♪」
YUI 「ほら、最愛も早く!」
MOA 「えっ?えっ?えっ? えい!!」

 3人が“糸”を掴んだ瞬間、また“糸”が輝き出す。由結が目を閉じ何かを呟いた。
 そして、由結の呟きに呼応するかの如く、糸が床へと消える場所を中心に床が赤く輝き出した。瞳の様な図形が浮かびその周りに三角の模様が浮かぶ。そして更にその三角の周りに文字が浮かんでゆく。THE ONEの模様の様だが文字が異なる。α'、β'、γ'、δ'と12文字が順次に浮かび上がり全てが揃ったと同時に図形全体が反時計回りに回転して行く。

MOA 「うそ?うそ?うそ?」
YUI 「いきなりギリシャは無理だろうな。 まずは近い所から・・・。よし、運命の糸を遡るよ!!」
SU- 「うひゃぁぁぁ♪ あっ!床に体が沈んでるかもぉぉ♪」
YUI 「ゼッタイに糸を手から離しちゃダメだからね!!」
SU- 「アイアイサーーッ♪」
MOA 「なに?なに?なに?なにがおこってるのぉぉぉ?!?!」

 3人が床の魔法陣の様な図形に飲み込まれていく。
 すぅの頭が消えた瞬間、強烈な閃光と共に床に描かれた図形も消えていた。
 そして、床に飲み込まれたはずの3人は、床に倒れていた。
 まるで、眠っているかの様に。
 3人の右手は、最愛、由結、すぅの順番で重なっていた。
 動く者がいない静寂の中、光を失った“糸”だけが3人の右手を貫く様にして、フワフワと天井からすぅの手の甲まで垂れ下がっていた。


【物語の物語 ③ -1939 ロンドン-】

 3人は赤く光る魔法陣の様な図形の上に乗っていた。右手には輝く糸を握ったままだった。
 音は無い。
 景色は黒と白の2色しかなかった。
 光と闇だ。
 その景色が凄い勢いで流れている。流れは1方向ではなく 渦を巻きながら上方に向かったり後方に向かったり、そして枝分かれして左右に流れたりもしていた。前方と下方に向かう事は無い様に見える。

MOA 「なに?ここはどこ? そしてこの恰好は・・・。」
SU- 「あっ!ジャケ写のカオナシ衣装じゃん♪ 『あっ。あっ。』どう?モノマネ上手くなった?」
YUI 「やっぱりね。この恰好になるんだ。物質は持ち込めないからかな。」
MOA 「どういう事?早く説明してよ!由結得意の模造紙は無いの?」
YUI 「えーと、ちゃんと理解してないのにココに来ちゃったから、ある程度の憶測で話すよ。 ここは、生命と時の空間。 『運命の間』とでも名付けようかしら。 運命の流れが見れる場所。 運命をいじる事も出来るけど、今はただ見る為の場所。 私たちの恰好は、闇を纏っているだけ。 ここには大きな物質は入れないからね。 私たちは精神体になるの。 体はエーテル体だろうな。 『有る』という“1”の存在になり、周囲との境に『無い』という“0”を纏う様になるのかな? だから、ジャケ写の時に着た衣装とそっくりな恰好になる。 顔の部分はどうなってるんだろう? すぅちゃんの顔も最愛の顔の分かるね。 ベール状の薄い闇なのかな?」
MOA 「え?え?え?えーと。 ほら、すぅちゃんなんて魂抜けたようにポカーンとしてるよ。」
YUI 「あらあら。ざっくり言うと。ココはネコ型ロボットの世界の机の中、この図形がタイムマシーンで握ってる糸がハンドル。あと、生きてるとココに来れないから、幽霊になっちゃった。この黒い服はオバケの衣装。って感じかな?」
SU- 「えっ? すぅは死んじゃったの?? ガァーーーン!!」
YUI 「あっ、一個訂正。幽体離脱が近いかも。だから戻れば大丈夫。でもこの“糸”を離すと戻れなくなっちゃうから、離しちゃダメよ。」
SU- 「はーーい。」
MOA 「え?タイムマシン??未来と過去に行けるの?」
YUI 「行けないよ。ココは『運命の間』であって『時間の間』じゃないからね。私達は時の管理者のクロノスさんじゃないからね。出来るのは運命を見たり触ったり出来るだけ。触れるのは現在と未来だけ。見るのは過去と現在と未来の運命。・・・のはず。」
MOA 「よくわからん!」
YUI 「その内に理解するよ。 じゃーウチらの事を調べるついでに“ラ”を調べようか?」
SU- 「“ラ”って何だっけ?」
MOA 「忘れてるし! ところでドレミってアメリカとかだとABCじゃなかったっけ? “ラ”はAってギター習ってた時に聞いたよ。」
YUI 「音名と階名ね。階名の“ラ”はほぼ共通だよ。 音名メインの国も多いけどね。そこは帰ったら音楽の先生に聞いてみよう! じゃー、さっそく行くよ!」

 由結は右手の糸をクイッと引く様に握る。すると最愛の右手と由結の右手の間の糸がブワッと高さ5cm直径30cmの円盤状に膨らんだ。 由結が「やっぱり今は深くに行けないか。 近い所で・・・。」 と独り言をつぶやいた。
 その円盤に由結は左手をかざすとその円盤からほつれた様に1本の糸が浮いてきた。その一本を由結は左手で慎重につかむ。
 その途端、3人は乗っていた図形と共にフリーホールの如く急降下した。

MOA 「きゃぁーーーーーっ!!」
SU- 「うひょぉーーーーっ!!」
YUI 「なぜ叫ぶ?」
MOA 「凄い勢いで落ちてるから!!・・・ん? あれ? 普通に立ってるのと変わらない。」
YUI 「本来ここには重力も風もないからね。 景色が上に急激に流れてる程度で、感覚的には何も変わらないよ。 ほら、ちゃんと“糸”は持ってなよ。」
SU-/MOA 「う、うん。 でどこに向かってるの?」
YUI 「と、行ってる間に着くよ。 まずは1939年のロンドン!!」

 由結の言葉が終わると同時に真っ暗な白黒の世界から、急にカラーな現実に飛び出した。
 高い天井の大きな会議室。真ん中にはピアノが1台。数10人の大人たちが話し合っている。 由結、最愛、すぅの3人は天井付近の空中に浮かび、眼下の様子を眺めていた。
 調律師がピアノを調整し、ポーンと鳴らした。そしてもう一度ポーンと同じ音を鳴らす。“ラ”の音だった。そしてその響きが鳴り終ると、大人たちが一斉に拍手をした。

SU- 「何ここ? そしてこの人たちは何してるの?」
YUI 「たった今ね。始まりの音である“ラ”の音が440Hzに決まったのヨンヨン♪」
MOA 「そ、それだけ?」
YUI 「えぇぇっ? 反応薄くない? ヨンヨンだよ。」
SU-/MOA 「へぇーっ。・・・で?」
YUI 「440Hzが運命を伸ばす音なのにぃ。 ほら、あそこに数代前の私達がいるよ。 時代的に考えて覚醒してるはず。」
MOA 「なに? 私達って? 覚醒ってなに?」
SU- 「どこどこ?」
YUI 「ほら、女性3人で話し合ってる。 ちょっと下りて話しかけてみよう。」
MOA 「へっ? あのお姉さま達に??」

 由結は輝く糸をクイと引く。すると3人は床へとスゥーっと下がっていった。

YUI 「あのぉ。すみません。」
MOA 「なにいきなり声をかけてるのよ! うちら幽体離脱中でしょ? ウチらの事見えてないんでしょ?」
NFM 「モイライ? あら、いつの時代のモイライかしら?」
YUI 「2016年から来たモイラです。」
PFM 「そんなに若くて覚醒してるの? 貴女達は大変な時代から来た様ね。」
YUI 「いえ、凄く平和な時代ですよ。」
JFM 「平和なのにモイラの力が必要なの? 不思議ねぇ。」
MOA 「あれ? 普通に会話してるし。」
SU- 「この人、すぅ だ。見た目は全然違うけど、たぶん すぅ だよ。」
NFM 「こっちの2人は半覚醒すらしてないのね。 でも、わかるなんて感覚が元々鋭いのかしら? うふふ、そうよ。 貴女は私、私は貴女よ。」
YUI 「実は私も、ちゃんと覚醒してません。役目と“糸”の使い方しか思い出せてません。 私達の事を知りたくて、覚醒したモイライに話を聞こうと思い“糸”を使いました。」
PFM 「あら、あなたはアトロポスでしょ? 半覚醒の状態なのね。 ラケシスが覚醒してないのによくここまで来れたわね。」
YUI 「はい。この子の力を借りて、この時代まで遡るのがやっとでした。 私の力で帰れるから大丈夫かな?って、でももうヘトヘトです。」
JFM 「あら、私と同じで無茶してるわね。 って私だからしょうがないか。姉さん、あの子に気付かせてあげたら?」
MOA 「ちょっと、待った!待った! 何の話をしてるのよ!! えっと過去には来れてなくて見るだけって話でしょ? なんで話が出来るのよ?! 」
PFM 「モイライ同士だから。 自分の心に話しかけてるのと同じなのよ。 映画を見ながら自問自答してる様なものかしら。 覚醒してないからわからないのね。 ほら、そこの私。左手を出して。手を合わせてあげる。」
MOA 「えーと、こうですか?」

 PFMが、最愛が手の平を上にして出した左手に触れない様に気を付けながら、自分の左手を5cm程上に離れた所からかざした。すると2人の左手と左手の空間に静電気の様な光が無数に流れた。
 最愛は目をパチクリさせてその様子を見ていた。最愛の体が、ピクッピクッと震える。

MOA 「あっ。」
PFM 「どう? 何か思い出した?」
MOA 「は、はい。 うっすらぼんやりと。 何となく貴女が私である事は理解出来ました。 “糸”の使い方とぉ・・・あと、『割り当てる者』である事も。 でも、それ以外は・・・先ほどから言ってるモイラが何かもわかりません。 この“糸”が何かすらもわかりません。」
PFM 「あら? 半覚醒にしては中途半端でおかしいわねぇ。 あのクソオヤジが何かしてるのかしら? まぁ、それだけ思い出せば、それで十分よ。」
SU- 「あっ、あのぉ。 ところでお姉さん達は、ここで何をしてるんですか?」
NFM 「私たちはね、役目の効率化の為にこの国際会議に出てたのよ。 数代前の未覚醒で無自覚のモイラが、微小ながら音で運命に影響を与える事が出来る事を発見したの。 “始まりの音”が今まであまり効果のない435Hzから意味のある440Hzにまで私達が引き上げたのよ。 ホントは444Hzにしようとしたけどね。 ロックフェラーの思惑で444Hzには出来なかったけど。 これで人類の寿命が延びるはずヨンヨン♪」
MOA 「寿命が延びる?」
PFM 「そうよ。 特定の周波数は運命に影響を及ぼすの。 例えば、今日決まった440Hzの音は、生きながら体が死んでいく病気を抑止する効果が有ったり、440Hzや444Hzを基として調律する事により作れる528Hzは傷んだ細胞への回復効果があったりするの。」
MOA 「生きながら死ぬ病気? 癌の事かしら?」
SU- 「へぇ。 色々すごいね。」
NFM 「440Hzは“始まりの音”。 特別な音過ぎるの。 だから、444Hzにずらし癒しの効果も含めようとしたけど、ダメだった。 時代がカオスを求めすぎてる。」
PFM 「440Hzは、赤ちゃんの産声の音よ。 運命の始まりを告げる音なの。 モイラにとって特別な音。 力の強い音ゆえに、人を刺激し攻撃的にすらしてしまう。 ・・・私達の力が必要な時代が始まってしまった。」
JFM 「未来の私、貴女の名前は?」
YUI 「由結です。」
JFM 「由結。 延ばすのも大事だけど、切るのが私達アトロポスの本来の役目。 全てはあの子が紡ぐ為に。」
YUI 「はい、わかってます。・・・クッ。・・・力が。・・・急に手に力が入らなく。」
JFM 「由結、あなたラケシスの力を強引に引き出すのに力を使い過ぎたわね。 早く肉体に戻りなさい!!」
SU-/MOA 「由結!大丈夫?!」
YUI 「だ、大丈夫、もう少し自分達が何なのか、教えてくれませんか?」
NFM 「ほら、無理しない! 貴女達、他の時代の覚醒したモイライに逢いに行って話しを聞きなさい。 必ず最後に“始まりのモイラ”に逢いに行きなさい。 そして、モイライ達から私達が紡ぐ物語を受け取りなさい。 そして、そこの未来の私。」
SU- 「あっ、はい!」
NFM 「あなたが、すべてを受け止めなさい。 それがあなたの力になる。 夜から生まれた力は代を重ね進化する。 あなたから始まる新しい力を身に付けなさい。 長女のあなたが、この子達を守りなさい。」
SU- 「え~っと。うん!! わかった!!」
JFM 「由結、ほらもう限界に近いでしょ? 戻りなさい!」
YUI 「は、はい。あ、ありがとうございます! 戻るよ!すぅちゃん、最愛!」
SU-/MOA 「うん!!」
 

【物語の物語 ④ -由結の調べた事-】

 煌々と光る蛍光灯の下、3人は動かず倒れていた。ゆっくりとした呼吸で
 “糸”はフワフワと螺旋状に揺れている。
 “糸”の光は薄いが、拍動する様に糸の中で光の粒が下から上へと流れ上がり続けている。
 レッスン室の扉が開いていた。
 鏡の前で1人の男が立っていた。右に左にとウロウロと歩く。右手の中指で髪の毛の分け目ををポリポリと掻き、部屋の中央に移動して行った。
 足元に倒れる3人を眺め、「おーーい。」と声をかける。
 むなしくも反応は無い。靴のつま先でツンツンと突っつこうとしたが、止める。腕を組み「うーん。触ったのバレると後が怖いからなぁ。」と唸り、しゃがみ込む。
 3人の顔の顔を覗き込み、また立上り、そしてしゃがみ込む。それを数度繰り返し。3人と同じ様に横になってみる。

KOBA 「寝てるのかーーっ?
    風邪引くぞぉーーっ。
    おーーい。
    ツンツンしちゃうぞーっ。
    ホントは起きてて無視してるのかぁー?
    無視されると、お父さん泣いちゃうぞぉーーッ。」

 不意に、すぅの手の甲から天井に伸びる“糸”が、フルルと震える。
 ぼんやりと拍動していた光の粒の輝きが徐々に強くなる。
 どんどんと光量が上がっていく。床が赤く光り出し、魔法陣が“糸”を中心に浮かび上がってるくる。そして、加速しながら魔法陣が時計回りに回転して行く。
 魔法陣の中から、黒い影がせり上がってくる。黒い闇の衣を纏った3人が“糸”を掴み顔、胸、腰と姿を現す。
 衣から覗く素足まで現れた所で、強烈な閃光と共に床の魔法陣が消えた。
 床に倒れる3人の重なる右手がピクリと動き、3人揃って瞳をゆっくりと開いてゆく。
 すぅ が右手を顔元に近づけると共に、“糸”の強い輝きも失われ、またぼんやりとした光に戻っていった。

SU- 「ただいまぁ。・・・えへへ♪」
MOA 「うーん。ただいまっ。・・・あははっ♪」
YUI 「ふぅっ。ただいまっと。・・・ふふふっ♪」
SU- 「えへへ♪」
MOA 「あははっ♪」
YUI 「ふふふっ♪」
KOBA 「にゃはははは♪ おかえりっ!!」
SU-/YUI/MOA 「ただいまぁーーっ♪・・・ん?・・・のぁっ!! コバヤシっ!!!!」
MOA 「一緒に寝っころがって、なにしてんのよぉぉ!! なに? 寝顔を見てたの?!?!」
YUI 「きゃーっ! きゃーっ! 変態! 変態! 変態!!」
SU- 「きゃぁーーっ♪♪」
KOBA 「ばっ、バカ! 違うよ!! 部屋の前通ったら倒れてるの見えて、様子を見に入って来ただけだよ!! ・・・ん?って由結!どうした、その顔?!」
YUI 「んん??」
SU- 「うぎゃぁーーーっ!!」
MOA 「ゆ、由結のホッペがっ、げっそりコケてるぅぅぅ!!」
YUI 「ん?ホントだ。 ホッペのたくわえまでエネルギー使っちゃったか。 ご飯食べればすぐに治るよ。」
MOA 「ラクダかっ?! それと、コバヤシィ!今度、乙女の寝顔見たら、ぶっ殺すぞ!!」
KOBA 「うひぃぃ。 怖い、怖い、いつの時代も嫁と娘は怖ぇぇなぁ。 じゃースタジオに戻るぞ。 あまり無茶な練習すんなよぉ。」
バタン。

SU- 「ふぅ。いきなり、お父さんいてビックリしたね。」
MOA 「そうだね。 それにしてもお腹減ったなぁ。 ところで、ホントにご飯食べれば戻るの?」
YUI 「うん。戻るよ♪ いつもそうだもん。 さっきの事を話し合う前に腹ごしらえだ! で、どこに食べに行く? キャッスルさん?」
MOA 「お金なぁ――い。 でも、ガッツリ食べた―い♪」
SU- 「って事は、また、あそこ?」
YUI 「今日ならMEGA盛りだって食べれるぞ!! で、いっきに回復だ♪」
MOA 「ダイエッター由結が賛成なら決定ね♪ じゃー、日体大の学食へGO!!」

 3人はレッスン場から、徒歩5分ほどの日本体育大学世田谷キャンパスへと向かった。行く道では、先程起こった出来事を脳が消化し理解する為なのか3人共に無言で歩き続けていった。
 日体大に着くと、3人は同じメニューを頼み、そして無言でひたすら食べ続けた。

SU- 「ぬぬぬぬぬっ。く、苦しぃでごあす。」
MOA 「いつもミニ食べてる すぅちゃんまで、一緒にMEGA★カレー食べる必要なかったのにぃ。 それにしても、どうなってるのよ? そのホッペ。」
YUI 「ね、ぷるん♪と元通り、ぷにぷにだよ♪ で、次はどこに行こうか?」
SU- 「レッスン場に戻るんじゃないの?」
YUI 「違うよ。 どの時代のモイラに会いに行くかって話だよ。 カレー食べたしインドに行こうか。 うん、ちょっと気が重いけどインドにしよう。」
MOA 「待って、その前にちゃんと教えて。 この“糸”の事とロンドンで彼女達と話してた事を。 知らない単語ばかりだったから。 モイラって何? モイライって何よ?」
YUI 「そうだね。レッスン場と逆だけど、近いし駒沢公園まで話しながら腹ごなしに歩こうか。 まずはモイラについてね。 モイライはね、モイラの複数形なの。」
SU- 「ねぇ、そもそもモイラって何?」
YUI 「最愛は、モイラが何かわかった? ロンドンで半覚醒したでしょ?」
MOA 「自分が『割り当てる者』のラケシスってのだという事は理解したけど、モイラが何かはわからないな。」
YUI 「じゃ、順番に公園の中を歩きながら話そうか。 “The Destinies”からだよね。調べてて“The Destinies”と呼ばれる存在が『いる』事に気付いたの。 その存在は『運命の三女神』と呼ばれる3姉妹の神様だったのね。」
SU- 「神様? それがモイラなの?」
YUI 「うん。ギリシャ神話の神様。 モイラは3姉妹だから、彼女達を複数形で呼ぶ時がモイライなの。 ちょっと待ってね、携帯でモイライの絵を出すから。」

 由結は、携帯に保存した『運命の三女神』の画像をすぅと最愛に見せた。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b7/Strudwick-_A_Golden_Thread.JPG

 すぅと最愛は、画像を見つめたまま息を飲んだ。
 知っている格好をした3人の女神がそこには描かれていた。
 1人は糸巻棒から糸を紡ぎ、1人は糸を捌く、そして真ん中でその様子をフードをかぶり眺める女神。

MOA 「えっ?黒い服を着てる。 真ん中の人なんて頭からかぶってる。・・・これって、セカンドの私達と同じ格好じゃない!! そして、さっきまであの世界にいた時の格好と一緒だ!! あっ!そうだ。 あの世界『運命の間』に入った時、由結が自分たちの格好を見て『やっぱり』って言ってた。 すごく違和感があったの覚えてる。 この画像を見ていたから出た言葉だったのね。」
YUI 「そうだよ。 でね、このモイライは、色々と謎の多い神様なの。 『紡ぐ者』の意味の言葉であるクロートーと呼ばれる女神と、『運命の図柄を描く者』の意味のラケシス、『不可避のモノ』を意味するアトロポスで呼ばれる女神、意味を表す呼び名だけで1人1人の名前が伝わって無いの。 三女神はローマ神話でも出て来て、パルカと呼ばれてて複数形だとパルカエっていうの。 ローマ神話では名前があってノーナ、デキマ、モルタの3姉妹なのよ。 そして、生まれも不思議なのよ。ゼウスとテミスの娘達って事になってるけど・・・。 生まれに関しては、真実が別に有りそうだから会いに行ったモイライに聞きたいの。」
SU- 「うぅぅ。カタカナの名前は苦手だよぉ。 えーと3姉妹でぇ。 名前がカツ、レツ、キッカだっけかな?」
MOA 「おいおい、そいつは『機動戦士の3子供』だろ!」
SU- 「えっ間違えた? あっ!ガイア、マッシュ、オルテガの3姉妹だった!!」
MOA 「ジェットストリームアターーク!! 黒い恰好してるから『黒い三連星』ってか? そいつはドムを操縦する『機動戦士の3オッサン』だろ!!」
YUI 「・・・ガイアか。ゼウスのお婆ちゃん。 私達にとっては曾祖母であり伯母である方。」
MOA 「ん? なんか言った?」
YUI 「・・・ううん。なんでもないよ。」
SU- 「なんか、隠してる?」
YUI 「ううん。 まだ由結も理解出来て無い事があって、それを呟いちゃっただけ。ところで、どう? モイラについてはわかった?」
SU- 「モイラの役目についてわかりませーーん。」
YUI 「そっか、すぅちゃんは半覚醒すらしてないものね。えーと、すぅちゃんはクロートーだから『紡ぐ者』ね。 つまり生命を誕生させる者なのよ。 で最愛がラケシスで誕生した生命に運命を割り振る者ね。 で、由結がアトロポスで運命を切る者ね。わかりやすく言うと、すぅちゃんが作って、最愛が育てて、由結が壊す役割かな。」
MOA 「運命を壊すって殺すって事? そっか、由結が壊す係りでその役目を1人で抱えるのが出来なくて『助けて』って言ったのね。」
YUI 「・・・うん。」
SU- 「ロンドンでミットフォードさん達が言ってた事、なんとなくわかったかも。」
MOA 「あ、あとモイラって神様でしょ? なんで人間として世代交代してるの?」
YUI 「そこが、謎の部分なの。 神々は長寿のはずなのね。 不死の者達もいる。始まりのモイラは長寿だったはずなの。 長寿どころか不老不死だったかも。 覚醒した他のモイラや始まりのモイラ本人に直接聞いてみないとわからないわ。 他にもいくつかわからない事があるし。」
MOA 「あと、始まりのモイラってどんな姉妹だったの?」
YUI 「う~ん、端的に言うと。巨人を青銅の棍棒でなぎ倒すパワーファイター型でありながら、戦略で敵の大将を無力化させる知能派でもあったみたい。」
SU- 「なるほど、なるほど。ゴリラファイターは『始まりの最愛』で、姑息な詐欺師は『始まりの由結』だな。うん、きっとそうだな。」
YUI/MOA 「すぅーちゃん!!」
SU- 「えへへ。 ところで、すぅは糸で何も作ってないよ。 でも人って生まれ続けてるよねぇ。 どういう事?」
YUI 「普段は自動化されてるみたい。 覚醒して意図的に“糸”を操らない限り自動的にモイラの力が“糸”に流れ込み、誕生と死を繰り返させる。 覚醒したモイライはそれを意識的に操作が出来るの。 大量に生まれる様に出来たり。 人々の運命を変えたり。 そして大量に・・・殺したり。」
MOA 「そんな力が私達に宿ってるっていうの? 半覚醒っていっても、まったく実感ないよ。
 信じられないなぁ。」
SU- 「そうだね。 すぅ が誕生させるのは人だけなの? 動物とかは?」
YUI 「私達の力の対象は人類。・・・あと神々。 その事にも、まだわからない事が多いの。」
SU- 「まだまだ、謎ばっかだねぇ。」
MOA 「ところで、覚醒したモイライ達ってどんな人達がいるんだろう。」
YUI 「さっき『運命の間』で“糸”を操作した時に何人か見つけたわ。 えーっと、頭が人で体が蛇の女禍(ジョカ)さん達とかぁ。 心臓鑑賞が趣味で酒池肉林大好きの妲己ちゃん達とかぁ。 二人とも中国ね。」
MOA 「うゎっ。 会いたくないタイプ! ホントにモイアなの? 中国は行くのをやめよう!」
YUI 「女禍(ジョカ)さん達は、縄で人を創造し70回転生を繰り返す神様よ。 妲己ちゃんは殷王朝が滅ぶ位に無邪気に殺しまくりで九尾の狐の化身とも言われてるのよ。」
SU- 「縄で人類誕生かぁ。 そりゃモイアですなぁ。 すぅ もこの2人には会いたくないなぁ。 で妲己ちゃんはキツネなの?」
YUI 「ある時代のモイアからキツネさまが絡んで来るの。 神様って動物をそばに置く事が多いのね。 それを『神使』って言うんだけど、たまにね神様の力の影響が多き過ぎて『神使』が神レベルの力を身に付け、そのまま神様にまで昇華する場合があるの。 狐様もそう言った神様らしい。 インドにキツネに乗った神様がいるの。 この人の巨大な力で狐様は神になったっぽい。」
SU- 「へぇ。」
YUI 「由結も蛇は見るのも苦手だから、次はインドにしようかなぁって。 ほら狐様にも会ってみたいし。」
MOA 「MEGA★カレー食べた後もインドに行きたいって言ってたね。 その神様はどんな神様なの?」
YUI 「6ヶ月前に死の宣告をして、死んだ所で血肉を喰らう女の子達。 メギツネダンスしてる像が残ってたり、絵では一人で狐に乗ってたり、3人組で書かれたりしてるんだよ。狐に乗ってる姿を すぅちゃん に変えて書いてる絵師さんもネットでいたから前々から気になってたの。 だから次はインドね。 もう決めたから。」
SU- 「血肉ってグロッ! インドも無理ぃぃぃ!!」
YUI 「死まで6ヶ月間は優しいらしい。 血肉を喰らうには別の真実がありそうなの。 アトロポスの力を理解する上でも話が聞きたいの。 狐様にだって会えるかもだよ。 ・・・あとエロエロボインらしい。秘術とかあるらしい。」
SU- 「そこか! 胸の大きくなる秘術を聞いて自分だけエロエロボインになる気だな?!」
MOA 「ねぇ。ねぇ。インドじゃなくて、ワイハーで覚醒したアロハ~♪なモイアとかいないの?」
SU- 「あと。シャンパンとワインちゃんぽんで飲んで、ルネッサーンス♪って乾杯する陽気なホロ酔いモイア貴族はいないの?」
YUI 「イ・ン・ド!! 2人もインドに行くでしょ?YES or NO?!」
SU- 「サンバを踊るモイアは?・・・うっ!」
MOA 「ひぃぃぃっ。 由結が夜叉顔にっっ!」
YUI 「インドに行きますよねぇ? Y/N?!?!」
SU-/MOA 「・・・い、いえす、おふこ~す!」
YUI 「ニコッ♪ じゃー、レッスン場に戻ろっかぁ♪」


【物語の物語 ⑤ -インドの神-】

MOA 「インドの神様かぁ。 って事はヒンドゥー教の神様? かなり怖い系じゃないの? ヒンドゥー教の神々って半端無く怖いって知識しかないんだけど。」
YUI 「目当てのインドのモイラは起源が不明で謎の多い神様達なんだよねぇ。 魔術や秘術が得意だったみたい。 ヒンドゥー教ではマイナーな神様みたいなんだけど、インド仏教やチベット密教では大日如来の化身である大黒天に倒された事となってメジャーな神になっていくの。中国経由で日本にも伝承が有って愛知県の豊川稲荷って日本三大稲荷にも入る有名なお寺の御本尊にもなってるんだよねぇ。 ちなみに大黒天はヒンドゥー教ではシヴァ神ね。 破壊を司る偉大な神様よ。・・・恐妻家で有名だけど。」
SU- 「あれっ? お稲荷さんなのに神社じゃないの?」
YUI 「明治頭の神仏分離令までは神社とお寺の境が曖昧だったのよ。 豊川稲荷もその一つかな。 鳥居も一度撤去したけど復活してるしね。 日本のファジーさのなせる技ね。」
MOA 「ねぇ、ねぇ、魔術って、やっぱり怖い人達なんじゃ? あっ、コンビニだ! インドだしカシューナッツでもお供え物に買って行かない?」
YUI 「だから、『運命の間』には物質は持ち込めないんだってば。 レッスン場に急ぐよ。」
SU- 「また“げっぞり由結メタル”になる可能性あるし。コンビニでウチらの食料を補給しようよ。」
YUI 「急ぎたいんだけどなぁ。 う~ん、そだね。 戻ったらすぐに教えて貰った秘術に使える様な食材でも買うか。」
SU-/MOA 「やっぱり、急いでインドに行きたいホントの目的、そっちじゃーーーん!!」

 すぅ、由結、最愛の3人はコンビニの袋を抱えスタジオのレッスン室に戻ってきた。正面一面鏡貼りで床はフローリングだ。入口で内履き用のレッスンシューズに履き替え、奥の長テーブルにコンビニの袋を置き、すぅと最愛はパイプ椅子に座った。由結は移動式のホワイトボードを長テーブルの横までコロコロと移動させる。そして、せっせと文字を書き続けた。

MOA 「ねぇ、でインドのモイラって誰なのよ。 あえて名前を言ってない感じだったけどさ。 いい加減教えなさいよ。 じゃないと、ラケシスの過去を見る能力使わないからね。 由結が大量に買い込んだ大豆製品と乳製品が無駄になっちゃうぞ。」
YUI 「わかってるよぉ。 インドのモイライは日本にも伝わってるって言ったでしょ? インドのカタカナ名の他に漢字での当て字もあるの。 漢字の説明が面倒だったから、ここに戻ってからhホワイトボードで説明しようと思ったの。」

 由結は話ながらも、ホワイトボードに文字を書き込んでいく。

ギリシャ  :モイラ   モイライ 
  ⇒神様。ニュクスの娘達からゼウスの娘達へ
 ↓   ↓   ↓   ↓
ヒンドゥー :ダーキニー      
  ⇒ヤクシニ―(半女神の夜叉)からシヴァに怒られ妻のカーリーの侍女達へ
インド仏教 :荼枳尼   荼枳尼衆 
  ⇒夜叉からブッタに怒られ女神へ
チベット仏教:カンドーマ(獅面空行母)
  ⇒神様。ヘールカ神の妻とその眷属
日本仏教  :荼枳尼天     
  ⇒神様。貴狐天皇や辰狐王菩薩ともいう。菩薩は仏様の一歩手前。

 と、ホワイトボード書かれていった。

MOA 「ん?日本の『ちゃただあまてん』?? なんじゃそりゃ?」
SU- 「だだっ茶豆の天ぷらの事だっちゃ。 尼さんの作った精進料理だっちゃ。」
MOA 「だだっちゃって、枝豆の? へぇ。美味しそうだねぇ。」
SU- 「うん。美味いっちゃ♪」
YUI 「こらこら、知ったかぶり言うな! 『荼枳尼』はダキニって読むのよ。 ギリシャの行以外は、全てダーキニーさん達の事を言ってるの。 昔の言い伝えだから、各国で色々差はあるんだけど、簡単にまとめるとダーキニーっていうヤンチャな人達が、強烈に偉い人に怒られて立派な人になったみたい。この流れって、モイラに共通してるのよね。誰かの影響で何かに変わるの。『始まりのモイラ』は全知全能のゼウスの影響だったみたいだし。 って事でインドへ行くよ! 最愛よろしく!!」
MOA 「え? もう? すんげーダキニさん達の説明ザックリしてない? モイラみたいに絵とか残ってないの?」
YUI 「残ってるよ。 これが日本の豊川稲荷に祀られてる荼枳尼天よ。」

http://www9.plala.or.jp/sinsi/07sinsi/fukuda/kitune/image/2-002.jpg

SU- 「ホントだ! キツネに乗ってる!」
MOA 「で、肝心のインド時代のダーキニーさんは?」
YUI 「見ちゃう? ・・・インド仏教の曼荼羅に書かれてる荼枳尼衆はこれだけど。」

http://blog-imgs-44.fc2.com/e/l/e/electricwombworld/20110719205152646.jpg

MOA 「はぁぁぁ。 会いに行く前に見なきゃ良かったかも。 3人して・・・グロッ!!」
YUI 「所詮は絵だよ。 むかーしの人だから調べてもどんな人達かイマイチわかんなくて。 暴れん坊で、インド時代は全身真っ赤で、生きてる人喰って怒られて、死んでる人喰う様になって、死にそうな人には優しくて、空飛んで、キツネに乗って、プロポーション抜群なんだってさ、なんかマユツバじゃん? 実際に会ってみないと分かんないでしょ?」
MOA 「しかも赤いのかよっ! グロ神様って赤いのかよ?!」
YUI 「グロ神様言うな! だから真実は違うかもって言ってんでしょ?!」
SU- 「あぁ、だだっ茶豆が茶色じゃないのと同じね。 中の豆が茶色かと思ったら、さやの毛が茶色なだけなんだもん。 心配して損しちゃうよねぇ♪」
YUI 「・・・うん。そんな感じ。」
MOA 「あっ、ツッコミ面倒で適当に流した。 まぁ、由結が会いたいなら会いに行きますか!! じゃー最愛の初運命旅行に御同乗下さ――い!!」
YUI 「あっ、ちょっと待って!」

 由結は、A4の用紙に2枚に『ドキモ特訓中!覗くな!』と書き入口の扉の窓に「これで倒れてる姿を覗かれても、平気だよ♪」と呟きながらペタペタと目隠しする様に貼った。
 すぅ と最愛はレッスン場の中央で、由結を待ってる。由結は入口から駆け寄り、最愛の肩をポンっと叩いた。
 最愛が、3人の中央でフワフワとゆれる“糸”に手の平を向けると“糸”はその動きに反応する様にフワリと最愛の手の平に移動し、輝きを強くした。その“糸”を最愛が掴む。それに合わせて、由結と すぅ の順番に“糸”を掴んでいった。
 “糸”が更に強く輝きだす。

MOA 「ふ~ん。 なるほどね。 運命を割り当てる役割の為にこの過去を見る能力が有るのかぁ。 新たに生まれた命に最初に影響するのが両親の運命。その運命は過去の行いからって事なんだね。 “糸”を掴むだけで何百億人の今までの運命の流れを感じる事が出来るよ。 おっと、今はウチらの運命の探索ですね。 ではでは、行きますよぉぉっ。えい!!」

 床に赤い図形がボァッっと一気に現れ、反時計回りに高速回転しだす。そして、最愛、由結、すぅ の3人はスッとその図形の中に消えていった。

SU- 「うわっ。 今回は一瞬で『運命の間』に来ちゃったね。 この恰好にもちょっと慣れたな。」
YUI 「過去の閲覧が目的でここに来るのは、最愛の力だからね。 最愛が“糸”の使い方を理解して力を使えば、こんなもんだよ。」
MOA 「では、ウチらの過去を探しますか。」
YUI 「たぶん、それは最愛でも無理だよ。 やってみ。」
MOA 「えっ? さっき由結はやってたじゃん。」

 最愛は左手を“糸”を握る最愛の右手と由結の右手の間に添える。そうすると由結の時と同じ様に糸がブワッと高さ5cm直径30cmの円盤状に膨らむ。
 その円盤の上に最愛は左手をかざし続ける。

MOA 「あれ? ホントだ! モイラの運命が辿れない! どういう事??」
YUI 「3人の力が覚醒していないからなのか、それとも元々自分たちの運命は見れないのか。 ・・・正直わからない。 さっきロンドンに行った時はね、モイラに関わった人の運命を検索したの。 そしてその人がモイラと関わってる最中の時間に飛んだだけ。」
MOA 「あぁ、なるほどね。 関わった人かぁ、どれどれ。 ・・・あっ、いた! この人達の運命の最後にダーキニーさん達が関わってる! 運命の最後なのに、この人達なんだか・・・。 最後の時間かぁ。 たぶん、由結の役割に関わってね。 よぉーし、由結が死神かどうかを見極めに行こう!!」

 円盤からほつれた様に無数の糸がフワフワと浮いてきた。その一本を最愛は左手でつかむ。
 その途端、3人は乗っていた図形と共にフリーホールの如く急降下する。上方に流れる景色は由結の操作でロンドンに行った時の数10倍速かった。

 ポンっと白黒の世界からカラーの世界に投げ出された。
 灼熱の太陽がギラギラと照り続けている。 空気は乾燥し、大地も土が乾燥しひび割れていた。そして、川は干上がっており、樹木も痩せ細り雑草も枯れていた。
 目の前には、寺院の様な数件の石造りの建物が並び、その周囲だけ雑草が生えている。
 一つの建物から、歌声が聞こえる。その歌声は、すこし淋しげだった。
 その様子を、建物の扉の無い大きな入り口から一人の少女が覗いていた。腕も足も枯れ枝の様に細く、立っている姿には力が無く、今にも倒れそうに見えた。
 由結は“糸”をクイっと引き、空中からその少女の2m程後ろの地面に下りていった。少女は由結達3人の気配を感じた様に振り向いたが、3人の姿は見えておらず、キョロキョロとしたり3人がいる辺りを薄目にして目を凝らしたりしていた。その少女の大きな目は、若干黄色い様に見えた。少女は何かを語る様に口を開きかけたが止め、頭を傾げながら、また顔を建物へと戻し建物の中を覗きだした。
 すぅ、由結、最愛の3人も少女の後ろで、同じ様に建物内を覗こうとする。

MOA 「建物の中の人達全員もだけど、最愛が辿ったのはこの女の子の運命。 皆、ダーキニーさん達と関わっいる人達みたい。」
SU- 「一瞬、ウチらに気付いた様に見えたね。 この恰好が見えたのかなぁ。」
YUI 「う~ん。 神々の話が後世に伝わってるから、もしかすると見えてしまう人もいるのかもしれないね。」
SU- 「霊感強いってヤツなのかな?」

DAK 「おい!!!!」

SU- 「ひぃぃぃぃっ。」

 3人と少女の背後上方から、いきなり大きな声で声をかけられた。
 少女は、ビクッっと肩を上げ、固まる。
 すぅ、由結、最愛の3人もビックリし、下を向いたまま固まり振り向く事が出来ないでいた。

DAK 「ここがダーキニー衆の集落と知ってて来たのか?! ここから直ぐに立ち去らないと、お前ら生皮剥いで喰っちまうぞ!!」

 3人が固まったままの中、少女だけがゆっくりと振り向いた。 そして再度ビクッと驚くと腰を抜かした様にしゃがみ込み、その場から逃げようとズリズリと横に向かって動き始めた。

 逃げようとする少女を、すぅ 達3人のすぐ左斜め背後で女性が見下ろす様に眺める。少女は驚きで声を上げる事が出来ないのか、口を魚の様にパクパクとしている。そして何かを目で訴えるかの様に少女は女性を見上げた。

DAK 「・・・ん? ちょっと待て。 逃げるな!」

 痩せた熊の様に大きな真っ白な獣が、すぅ、由結、最愛の左横を通ってゆく。その背には赤黒い褐色の肌の女性が跨っていた。その白い獣が少女と3人の間で立ち止る。3人が手を伸ばせば、白い獣の後ろ脚が触れる距離だった。
 その大きな白い獣は、その女性以外に老婆2人をその背に乗せていた。
 ヒラリとその女性は白い獣から音も無く飛び降りると、少女の頭の上10cm程の何もない空間を右手でふわりと撫でた。その一瞬だけ少女の頭の上で細い線がキラリと光った。

DAK 「・・・そうか、辛かったな。 怖がらず、こっちにおいで。」

 その女性の口調は急に優しくなり、少女をほほを撫でると、そのまま少女を片腕で軽く抱きかかえ立ち上がった。
 その褐色の背中は、筋肉質に引き締まっていた。ウエストは大きくくびれ、臀部と太ももは筋肉が張っている。上半身や腰に軽く巻いたシルクの様な薄い布越しにもその全身が透けて見て取れた。首や腰、腕にはゴールドの装飾品がシャラシャラと音を立て揺れている。それがまた赤黒い褐色の肌を艶めかしく見せている様に3人には思えた。

DAK 「何をボォっとしてる。お前らもダーキニーだろ? いや、モイライか。 話しを聞きに来たってところかな? 立ってないで一緒に付いて来い。 サフェード!」

 背を向けたままそう言うと、女性は少女を抱え建物の中へと入って行った。
 サフェードと呼ばれた白い獣は老婆2人を乗せたまま足音無く女性に付いて行く。すぅ、由結、最愛がその様子をその場で立ち尽くしたまま眺めていた。白い獣は建物の中で立ち止まり、3人に向かって振り返ると「付いて来い」とでも言う様に首を前方にクイっと振った。その顔は耳が大きく逆三角形にシャープであり、明らかにキツネの様であった。


【物語の物語 ⑤ -地下の神殿-】

 3人は建物の入り口をくぐった。
 建物の中は、薄暗かった。
 入口から入って3m程の所に建物の右端から左端まで広がる下り階段があった。その階段は真っ直ぐと下って行く。外から見た建物は石造りの平屋で床面積は50㎡程度にしか見えなかったが、この建物はこの地下空間の入り口でしかなく、大きく掘り込まれた地下空間は地上の建物の数十倍はありそうだった。
 3人は階段をゆっくりと下りて行った。
 階段の下りた所の左右に天井へ伸びる石で出来た円柱の太い柱が見える。この掘り込まれた広い地下空間は石の柱が天井を支えている様だ。その柱には金属で出来た炉がぶら下げられており、炉からは白い煙が朦々と出ていた。強い甘い匂いが立ち込めている事から、柱に下げられた炉には香木が焚かれているのだろう。

YUI 「うわっ。地下神殿って感じだね!! 学校の体育館より広いんじゃない? で、あの女性がダーキニーさんみたい、由結と魂が繋がってる。 大昔の由結だよ。」
SU- 「この匂い凄いねぇ。ふがっ。ふがっ。く、くしゃみが・・・」
YUI 「奥の方は暗くて見えないね。 とりま、ダーキニーさんに付いて行こう。」
MOA 「・・・おねぇたまぁん♡ せ・な・か♪」
SU- 「は、は、ハクショイ!! 何この匂い?」
YUI 「お香だね。 柱全部に香炉がぶら下がって煙が出てるでしょ? 匂いの出る木をを燃やしてるんだよ。 インドは昔から色々な香木が取れるからね。」
SU- 「なんか、あれに似てるヤツ見た事あるなぁ。」
YUI 「ジャケット撮影の時に、すぅちゃん香炉を持たされてたね。 すぅちゃんが持ってたのは、カトリックで使う振り香炉っぽかったね。 振り香炉は乳香(にゅうこう)っていうインドや東アフリカに生える木の樹脂から作ったお香を入れるんだよ。」
SU- 「にゅうこう? どんな字書くの?」
YUI 「牛乳の乳に香りって字だよ。」
SU- 「乳花(にゅうか)!!」
YUI 「だから、香りだってば。」
MOA 「・・・おねぇたまぁん♡ ふ・と・も・も♪」
YUI 「あっヤバッ! 最愛が“いらんことモード”になってる!! 最愛! 歩き出すとか“糸”を離すとか、ダメ ゼッタイだからね!!」
MOA 「わ、わかってるよぉ。・・・おねぇたまぁん♡ お・し・り♪」

 階段を下り切ると、天井高6m程の空間が広がっていた。暗さに目が慣れると、中の様子がよくわかる。
 左右両側の壁には別の部屋に繋がる入口が3か所づつ空けられている。その入り口の向う側は暗くてどうなっているかわからないが、おそらく居住空間があるのだろう。空間の一番奥くは舞台の様に3段ほど高くなり3つの同じ装飾の大きな玉座が置かれていた。その舞台の両脇には階段があり地上に続いている様で、3つの玉座には光が注がれてる。
 3人はダーキニーの後ろを追い奥に向かって進んで行く。左右には3本づつ天井を支える円柱の柱があり、奥の2本の柱の周囲に2千人近いの人々が集まり歌を歌っていた。その歌は、すこし悲しげな旋律だった。
 集まる人々は老人と子供が多い様に思われる。
 人々はダーキニーが現れた事に気付き、歌う事を止め口々に「ダーキニー様!」と祈る様に声を上げた。
 ダーキニーは人々の手前で抱きかかえていた少女を優しく降ろし、続いて白い獣サフェードの背に乗る2人の老婆を降ろした。近くにいた女性に「この少女と老婆達に飲み水を持ってきてくれ。 姉者達は戻らぬか?」と聞くと、女性は「狩りから戻りませぬ。おそらく3日後かと。」と答え左側の真ん中の部屋の入口へと消えていった。ダーキニーは人々に挨拶する様に手の平を向け両手を軽く肩の高さに上げた。その姿に合わせ人々がダーキニーが通れる様に左右に分かれ、玉座までの道が出来てゆく。その道をダーキニーはゆっくりと歩き、そして真ん中の玉座に座った。ダーキニーの後ろを歩く白い獣サフェードはダーキニーの座る玉座の横の床で足をたたみ丸くなる。
 後姿しか見ていなかった3人は、ここで初めてダーキニーの顔を正面から見る事となり、3段の途中でピタリと進みを止め、目と口を丸くした。

 ダーキニーの目は目頭が深く切れ、二重で大きく、黒いまつ毛が驚く程に長い。鼻筋が通り小鼻が小さく、鼻先がツンっと尖っている。くっきりとした唇は、下唇がぽってりと厚く、ほのかに微笑んでいる様に口角が自然と上がっていた。
 彫が深く、純粋なインド系の顔立ちではなく西洋や東洋の血も混ざっている様に見える。
 ダーキニーは、言葉を失い立ち尽くす程の強烈な美人であった。

SU- 「・・・おねぇたまぁん♡」
MOA 「・・・おねぇたまぁん♡」
YUI 「・・・おねぇたまぁん♡ お・む・ね♪」

DAK 「おい! どうした?」
YUI 「あっ、あまりにダーキニーさんが美人さんだったんで、ちょっとボォーっとしちゃいました。」
DAK 「なに言ってるんだ。 お前は私だろう? 魂の繋がりだが、どことなく容貌も私の幼き頃の面影がある様な。 お前達3人も十分に美人だよ。 で、未来のモイライよ、名前はなんと言う。」
YUI 「由結です。」
MOA 「最愛です。」
SU- 「SU-METAL DEATH!・・・あっ! す、すず香です。“すぅ”って呼んで下さい!」

 集まっていた人々が、ざわざわとザワついた。その様子を見てダーキニーが人々に向かい良く通る声で声をかけた。

DAK 「気にするな。 いつもの神々の語らいだ。 鎮魂と安息の歌を続けてくれ。」

 その声を聞き、また人々は先程の歌を歌い始めた。

YUI 「あっ、あの。 おかしくないですか?」
DAK 「ん? なんだ?」
YUI 「今、この人達、私達とダーキニーさんの会話に反応しましたよね? さっきも女の子が私達の気配に反応したような。 ラケシスの力は過去の閲覧だけですし、アトロポスの力は現在と遠くない未来への閲覧と影響。 そして現在の運命を曲げるには3人の力が必要なはず。 ダーキニーさんと話せるのは同じチャンネルを使って心で対話してるだけのはずなのに。」
DAK 「あぁ、その事か。 私の力の影響だよ。 とある理由で神としてこの集落の空間を支配している。 運命の空間に近い状態だな。 私がこの空間に入ればその影響は大きくなり、そこに存在する生命の現在と未来に影響と共鳴を与えてしまうのだ。 特にここにいる人達は死が近い者ばかりだ。 元々に神霊に対して過敏な者もいるが、人間は死に近付くにつれ神霊に対して反応出来る様になる。 魂が神霊化し始めるんだな。 私がこの場にいる事により、現在の運命に対する影響としてモロに受ける。 この者達はお前らの姿は見えなくても、私が聞いたお前達の意思を私を通して波として拾ってしまうのだよ。」
MOA 「波?」
DAK 「音波。 つまりお前達の声がこの者達に聞こえるって事だよ。」
SU- 「え? え? え?」
SAF 「理解してないのかい?」
SU-/YUI/MOA 「・・・ん?」
SAF 「こいつら頭が悪いねぇ。」
SU-/YUI/MOA 「えっ?!?!? このキツネ、しゃべったぁぁぁぁ?!?!」

 白い獣サフェードがニヤリと笑い、立ち上がる。そして、3人の周りをゆっくりと回り、1人1人匂いを嗅いでゆく。

YUI 「ダ、ダーキニーさん! この子、しゃべりました!! しかも私達が見えてます!!」
SAF 「この子とはなんだい? あたしゃ、あんた達より数倍年上だよ。 そして力もね。 ふ~ん、道理で理解が悪いと思ったら、あんた達まだ半覚醒だねぇ。 よくも半覚醒でここまで来れたもんだ。 ん? すぅ お前は半覚醒すらしていないじゃないか?! なのにこの力。 危険だねぇ。 あんた達の時代は危険だねぇ。」
SU- 「すげぇ。このキツネ様、すげぇ。」 モフモフ。
SAF 「こらこら、くすぐったいねぇ。」
SU- 「うひゃぁ。もふもふしてて、気持ちいィィ♪ もふもふ♪」
YUI 「えっ?! なんでさわれるの?! この世界の物には何一つ触れないはずなのに。 この魔方陣が無ければ立つ事すら出来ないはずなのに。」
SAF 「変だねぇ。 ここに来れるのに、なんにも知らないのかい? 契約は永久のはずだが・・・邪魔が入ったか? まぁいい、教えてやろうじゃないか。あんた達の体は今、肉体からエーテル体とアストラル体のみが浮遊している状態だ。 今のあんた等が触れるのは、あんた等のエーテル体とアストラル体より高濃度のエーテル体とアストラル体を持つ存在。 まだあんた等のは薄くて不安定だからねぇ。 同程度や薄い濃度の存在には触っちゃダメだ。 相手や自分に影響が出てしまうからね。 水と水が混ざる様なもんだ。 モイライの覚醒者でも人としての覚醒者には触っちゃダメだ。 モイライは状況に応じて、人から半覚醒者、そして覚醒者、最後に神となる可能性を秘める完全覚醒者、又は神自身へと昇華していく。 覚醒者ですら濃度が薄い。 お前らが神となる事があれば、その肉体から離れた状態でもあらゆる物が触れる様になるだろう。」
MOA 「あぁ、さっきロンドンで半覚醒させて貰った時、彼女が最愛に触らない様にしてたのはそう言う事かぁ。 サフェードは神様なの?」
SAF 「神獣の名を呼び捨てとは。 まぁ、いい。 あたしゃ、ちょっと特別なのさ。 ダーキニー達に出会う前から神に近い特別な存在だったが、こいつらに出会ってからダーキニーが持つ神の力を常時分け与えられておる。」

SU- 「へぇ、サフェードって偉いんだぁ。こちょこちょこちょ♪」
SAF 「くふぅぅぅ。」
SU- 「わんちゃんと一緒で、耳の後ろは気持ち良いんだぁ♪ 口の中はどうなってるかな? 口をグイッっと。 わぁーーっ、スゴい牙だねぇ。」
SAF 「えぇぇい、やめーい! まったく、こいつは!」
DAK 「あはははは。 サフェードを犬扱いするとは面白いヤツだ! 気に入ったぞ! こいつは私達の相棒であり教育係でもあるからな。 私達ですらそんな事は出来ん! あはははは。 ところで、お前達はなぜに、くっ付いて“糸”を持ち続けているのだ? 指に巻けば良かろうに。」
YUI 「えっ? 指に巻く??」
DAK 「ホントに何も知らんのだなぁ。 右手で左の薬指に2重で巻き“糸”に意識を向け固定させろ。薬指に“糸”が貫通し固定されるはずだ。 解除する時は右手で“糸”を掴み解除する意思で意識を向けろ。 左薬指に2重に巻かれた糸が浮かび上がる。 ちなみに魔法陣も3人乗りじゃないぞ。 3人が別々に歩けば3つに分かれる。 “糸”も無限に伸びる。」
MOA 「ホントに? どれどれ、2重に巻いて、エイ! うわぁホントだ! 手を振り回しても大丈夫だ! で、この図形から歩く様に1人離れると・・・あっ、少し小さい図形になって分かれた! ダーキニーさんは神だから当然さわれると。・・・ふっふっふっふ。ギラリ!!」
YUI 「あっ! ヤバッ!! 最愛の足枷がハズれたっ!! すぅちゃん押さえて! ダーキニーさん逃げてぇぇ!!」

 状況の飲み込めないダーキニーだったが、瞳をギラギラと輝かせながら不敵に笑い立ち尽くす最愛の姿に強烈な悪寒を感じ、玉座から立ち上がった。

SU- 「最愛、完全に制御不能です! 最愛、再起動!“いらんことモード”発動ですっ!!」
DAK 「ん? なんだ?」
MOA 「ダキニたぁ~~ん♡♡♡」
DAK 「うゎっ!飛んできたっ!!」
MOA 「ダキニたぁ~~ん♡ ダキニたぁん、いい匂い♡」
DAK 「わっわっ! 抱き着くな!!」
MOA 「ダキニたぁ~~ん♡ ダキニたぁ~~んだね♡」
DAK 「そ、そうだね。 で、なに?なんなの??」
MOA 「ダキニたぁ~~ん♡ おしり♡」
DAK 「のわっ! 撫でるな!」
MOA 「お・し・り♡ あたま♡」
DAK 「やめてーーーっ!!!」
YUI 「ほら、すぅちゃんも急いて“糸”巻いて!!最愛を止めるよ!!」
SU- 「むふぅぅ。むふぅぅ。もふもふ♪もふもふ♪」
YUI 「あ゙。すぅちゃんまで“サフェードもふもふ♡没頭中の暴走中モード”にっ! 最愛は由結1人で止めるしかない!! 行くぞ! とぉーーーう!!」
DAK 「うゎっ! もう1匹飛んできたっ!!」
YUI 「むにゅぅ~~っ。 ぱふぱふ♡」
DAK 「由結お前は、止めに入ったのではないのかぁぁ?!」
YUI 「ダキニたぁ~~ん♡ お・む・ね♡  むふぅぅ♪むふぅぅ♪」
DAK 「こらぁーっ! 顔埋めて“ぱふぱふ”するなっ!! お、おいこら!最愛! そ、そこはダメだ!! ダメだってば!!」

SAF 「クオォォォーーーーーンッ!!!!」

 空間中が震える様なサフェードの遠吠えが鳴り響く。

YUI/MOA 「ビクッ!!」
SAF 「ふぅ、やれやれ。 やかましぃ。 お前ら、あたしの鳴き声で正気に戻ったか?」
YUI/MOA 「は、はい!」
SU- 「もふもふ♪ もふもふ♪」
SAF 「なんでこいつは正気にもどらん? まぁ、いい。 お前達がここに来た目的を思い出せ。 何が知りたい?」
YUI 「あ、はい。私達は自分達が何なのかを知りたくて来ました! モイラとは何なのか? 私は1週間前に急に『運命の糸』が見える様になりました。 なぜ見える様になったのかも。 そしてアトロポスの“運命を切る役目”についても教えて下さい。」
DAK 「由結は半覚醒して1週間か。 最愛は半覚醒を先程したと言ってたな。 そんな短期間で神である私に会えたとは信じられん。 そして すぅ は半覚醒すらしていないのに、この状態とは・・・今までに無い事だな。 ふぅ。 とりあえず、まぁ。 お前ら私に抱き着くのをやめて離れろ。」
YUI/MOA 「ダキニたん、すみません!」


【物語の物語 ⑥ -神々の敵は-】

 ダーキニーは玉座にもどり、由結と最愛はその前に正座して座った。
 再度途切れていた『鎮魂と安息の歌』が、また歌われだした。

DAK 「ここにいる者達は、死が近い者達ばかりと言ったのは、覚えているか?」
MOA 「はい。だから、私達の声も聞こえるとか。」
DAK 「ここにいる者達は皆、伝染病に侵されておる。 毎日何人も死んでゆく。 その病の原因を作ったのは、我ら神々だ。 この者達は神々の戦いの犠牲者と言える。 私らダーキニーは、この者達の死の苦しみを受け止める為にここにいる。」
SU- 「神々の戦いですか?」
DAK 「神々の戦いは常に続いている。 人には見えぬ神域と呼ばれる常世の世界でな。 この今我々がいる現世と神域は次元が異なりお互いに干渉していないだけで重なっておる。 が、大戦と呼ばれる戦いが起こる時、神々の行動によって次元の境界が割れる事があり、その時人間達が住む現世にも影響が出てしまう。 その影響はこの現世にて天変地異や疫病、飢饉といった形で現れてしまうのだ。 先般の大戦でこの地に境界の割れが発生してしまった。 この地に影響が出たのは2年程前の事だ。 雨季が来ず、飢餓が発生した。 そして、最悪な事に神が使用したチャクラ破壊用生物兵器の効果が次元の割れからこちらの世界に流れ込み、強力な伝染病として表れてしまったのだ。 広範囲の敵に対してチャクラを攻撃し一時的に弱体化させるだけのものだが、人間が浴びると第三チャクラ周囲の臓器を攻撃され、180日程で死んでしまうのだ。 このまま放置すれば、体力の少ない老人と子供から感染し、瞬く間に人類が役目を果たさぬまま滅亡してしまう。 そこで大戦を終えた私達は感染が広がらぬ様に、その病に侵された者達をここに集め共に過ごす事にしたのだ。 今日連れてきた2人の老婆で感染者は最後と思ったが、入口にいた少女もまた・・・。 今一度、“糸”を使用して感染者がいないか調べなくてはな。」
MOA 「そ、そんな。 あの女の子もそしてここにいる全ての人が・・・。 ねぇ、ダキニたんの力でなんとかならないの?!」
DAK 「この者達の死の運命は、決定なのだよ。 運命の決定を覆すには、代わりに死の運命を受け入れる者が必要となる。 この者達を救う為に他の者達の運命を切る事など・・・。 私達に出来るのは、ここにいる間だけでも幸せに暮らせる様、この者達の病による痛みや苦しみを私達が肩代わりし受け続ける事と、最後に苦しまぬ様に“糸”を切ってやる事だけなのだ。」
YUI 「覆せないだなんて・・・。 そしてダキニたんが痛みと苦しみを受け続けてるなんて。」
DAK 「運命の終焉と割振りしか出来ぬからな。 仕方がないのだ。 お前らがそんな顔をするな。 痛みもはじめの頃は辛くて眉間に皺の寄った鬼の様な顔での日々を過ごしたがな。 もう慣れたよ。」
MOA 「なんなのよ?! 神々は何と戦い続けてるの? なぜ戦いが終わらないの? また、こんな目に会う人達が出てしまうの?」
DAK 「また起こるかは、未来から来たお前らの方が知ってるだろう。 大飢饉や天変地異、病の大流行は起きてはいなかったかい?」
MOA 「・・・歴史を見ると起きていました。 何故?! 何と神々は戦っているのですか?」
SAF 「戦い続けてきた神であるダーキニーには、言い辛いだろう。 あたしが代わりに教えてやるよ。 神々と戦える者達は誰だと思う?」
YUI 「・・・悪魔・・なの?」
SAF 「ははっ。悪魔なんてな存在は、いやしないよ。 神々と対等に戦えるのはね・・・。」
MOA 「戦えるのは?」
SAF 「神々だけだよ。」

 由結と最愛はその言葉を聞き息を飲んだ。
 神々とは善なる者、それに敵対するのは悪なる者達との先入観があったからだ。

YUI 「神々の敵は神々?」
SAF 「あぁ、そうさ。 神々さ。 戦いに負けた神々を人間達が勝手に“悪魔”と名前を付けただけで、神々は神々と戦い続けているのさ。 人間達の争いとまったく同じだよ。 人間達の争いに巻き込まれる動物や植物はいないのかい? それとまったく同じ事なんだよ。」
MOA 「人間と同じだなんて。 神々は戦いに勝つと何が得られの? 何の為に戦い続けているの?」
SAF 「領域と敵の能力さ。 陣取り合戦をしてるのさ。 お前らの時代の最強の神は誰だい?」
YUI 「えーと。 宗教によって違うけど由結が知ってるのは、ゼウスだったり、ヤハウェ、アッラー、大日如来、ブラフマーとヴィシュヌとシヴァの三神、あとキリストや仏陀とかかな?」
DAK 「なにっ? あのチョビ髭クソオヤジは、お前らの時代でも現役か?? はぁ、まいったなぁ。」
MOA 「えっ?ダキニたんの知ってる神様達なの?」
DAK 「知らぬ名前もあったが、知ってる名前は全て同じ神の別名だよ。 そして私達の養父だ。 ちっ、戦いのどさくさに紛れて、クソオヤジを叩きのめせば良かったか? 戦いに勝つ度に力を増大させてるからな。 くそっ。お前等の時代でも神々の大戦がはじまるかもしれない! 覚醒し始めたって事は巻き込まれるかもしれないぞ!」
YUI 「ど、どういう事ですか?」
SAF 「それは、教育係のあたしが教えてやるよ。 モイラはね、神々の中でも負け知らずの強力な戦士なんだよ。 始まりのモイラの時代にそうされてしまったからね。 ゼウスの手で。 だから、モイラは転生を繰り返すのさ。 その代りに副作用も負ってしまった。 それが、人の姿、そして半覚醒と覚醒だよ。 いきなり神として誕生する事が出来ない。 それどころか、時代がモイラの力を不要とする場合は、人間の姿のまま自分が神の魂を受け継いでる存在である事も気付かず人間のまま一生を終える。 お前達、なぜ“糸”が見える様になったのか知りたいって言ってたねぇ。 モイラが覚醒するには理由があるんだよ。」
YUI 「理由ってなんですか?」
SAF 「“糸”を操る能力が必要になった時さね。 人間同士の争いで人間の運命が大量に左右される場合。 神々の大戦がはじまり戦士が必要となる場合。 そして、神々の運命を左右させる場合だよ。 あと、人間がその役目を果たす時が来た場合も必要かもしれないねぇ。 お前達の時代は争いに溢れているかい?」
MOA 「いえ、とても平和です。」
DAK 「そうか。 お前等は、今まで私に会いに来たモイライとも異なる、少し特殊なモイライだ。 お前らの時代に大きな波が訪れるかもしれない。 覚悟しておいた方がいいな。 すぐにでも“始まりのモイラ”に会いに行け!!」
MOA 「え?あ?・・・はい!!」
YUI 「色々と教えてくれて、ありがとうございます!!」

 由結と最愛は、ダーキニーとサフェードに正座のままで頭を下げた。そして、二人は左手の薬指から糸を解除しようと右手で糸を掴んだ。

SU- 「もふもふ♪ ねぇねぇ。 ダキニたんはさぁ。 ここの人達が死んじゃったら食べちゃうの? お空に飛べるの? あとさぁ、あとさぁ、えーと。 あっ!秘術の中にぃ。」
MOA 「しっ! すぅちゃん、いきなり口開いたと思ったら何を言ってるのよぉ!」
SU- 「だって、ここに来る前に気にしてたじゃん。 帰る前に聞ける事は聞かなきゃだよぉ。 だよね?サフェード。 もふもふ♪」
 




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