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『霊狐塚奇譚』-ぢゃぢゃめたる。作

【霊狐塚奇譚 EP.0】

ゆい「すぅちゃん、本当に一人で帰るの?」
すぅ「うん、今ならまだ海浜幕張駅も混んでないって」
もあ「さすがのすぅちゃんでも、メイトさんに見つかっちゃうかもよ」
すぅ「大丈夫、絶対バレないって。それに今日はどうしても寄りたいところがあるんだ」
ゆい「そうなんだ…気をつけてね。今年一年、本当にお世話になりました」
すぅ「3人一緒だからここまで来れたね。来年もよろしくお願いします」
もあ「ねえねえ、大晦日は紅白、みんなで観ようよ!μ'sさんも出るし、ひめたんの応援、一緒に盛り上がろうよ」
すぅ「ありがとう。また連絡するよ。じゃあ、お先に失礼しま〜す」

東京に出てきてすぐの頃に、家のすぐ近くですず香は小さな祠を見つけた。都会の雑踏からほんの少し離れた、少し暗いその場所に祀られているのは稲荷神である。メロイックサインを影絵のキツネみたいと思ったところからはじまった「キツネ様のお告げ」という設定に、すず香は因縁じみたものを感じ、それ以来折にふれこの祠を参拝していた。

世界を、そして日本中を駆け巡った2015年。そしてウェンブリー、アメリカツアー、東京ドームとどんどん大きくなるショウ・ビジネス。

祠を参り今年を振り返りながら、由結と最愛、神バンド、そしてKOBAやMIKIKO達と共に歩めば、きっと乗り切れるという確信はありつつも、すず香個人のプレッシャーを隠さなかった。

もっと美しく、もっと激しく。唯一無二のBABYMETALを完成させるために、私に力を!

"すず香よ、妾の元へ"

「へ?なに?」

何かの気配を感じる暇もなく、すず香は意識が遠のくのを感じた…


【霊狐塚奇譚 EP.1-1】

もあ「はい…ええ、大丈夫です。紅白、頑張ってくださいね。みんなで、応援してますから」
ゆい「最愛、大丈夫じゃないじゃん。すぅちゃんいないのに」
もあ「だって、せっかくの晴れ舞台、ひめたんには紅白に集中してもらわないと」
ゆい「まったく…どこ行っちゃったのかしら。だから一緒に帰ろうって言ったのに」
もあ「何かに巻き込まれていなければ良いのだけれど」
ゆい「…すぅちゃん、昨日のマイクの事、気にしているのかな」
もあ「あれは由結のせいじゃないし、すぅちゃんは動じずに進めていたじゃない」
ゆい「そうだね。ありがとう最愛。でもさ、プロデューサーは西海岸のプロモーターとの打ち合わせだって成田へ直行したし、MIKIKO先生はPerfume姉さんと紅白リハに入ったし」
もあ「まずは、ステルス利かせてるうちのクイーンを追跡するには…そうだ、この間ご挨拶したあの方達に相談しよう」

リーダー「おや、MOAMETALちゃん、どないしたん?」
もあ「お忙しいところすみません。ちょっとリーダーさんに相談したい事がありまして」
リーダー「今日はまだ別の仕事やさかい、終わり次第そっちに寄るわ」
ゆい「ちょっと、リーダーさん達も紅白出るじゃないの!」
もあ「まあ、白組だし、今日はまだ違う仕事だっていうから」

リーダー「ふーん、そういう事かぁ。よっしゃ、オッちゃんに任しとけ」
ゆい「その格好は…」
リーダー「ウチらCMやらしてもろてる運送会社さんの繁忙期や。毎年、ドライバーの皆さんの激励を兼ねて手伝いに出とるのよ」
もあ「昨日、リーダーさんのところのドライバーさん達がすぅちゃんを見かけなかったか、情報を集めてもらうわけ」


【霊狐塚奇譚 EP.1-2】

リーダー「まず、鉄道関係。ウチらが曲を使ってもらってる会社から海浜幕張の会社へ聞いてもらったところ…」
もあ「び〜あんびしゃーす!」
リーダー「Su-METALちゃんは確かに電車に乗って、最寄の○○駅で下車している事はわかった」
もあ「とりあえず範囲は絞られた。…由結、模造紙に書いて!」
リーダー「次に、○○駅エリアの集配センターに連絡して、Su-METALちゃんの目撃情報を集めてもらった」
ゆい「あれぇ?おうちまであと少しなのにここで情報が途切れたYO!」
リーダー「噂には聞いていたけれど、本当にSu-METALちゃんはステルス能力が高いねえ。ドライバーさん達の記憶をたどるのは難儀やったわー」
もあ「短い時間に無理言って、本当にすみません。でもだいぶ手がかりが掴めました」
ゆい「なんでリーダーさんにお願いしようと思ったわけ?」
もあ「Mステの時の衣装が探偵さんみたいだったじゃない?リーダーさん達なら、本当に探偵さんの仕事もするんゃないかと思って」
リーダー「とりあえず今ウチらが出来る事はここまでや」
ゆい「ありがとうございました。まずは周辺を歩いてみます」
リーダー「あんまり危険な事しちゃあかんで。なんかあったらまた連絡しいや」
もあ「紅白、歌以外のコーナーもあるんでしょ?頑張ってくださいね」
リーダー「演出の事は、シークレットや。でもなあ、オッちゃんこう見えて「はぐれ刑事」だったんやで」
ゆい「タモリさんもなんか言ってたけど…それなんですか?」
リーダー「そっか…君達が産まれる前のドラマやもんなぁ(遠い目)


【霊狐塚奇譚 EP.2-1】

「ちょっと寒いな、身体冷やすと良くないのにな」
あの時感じた気配はなんだったのだろう、と思いながらすず香は周囲を見回しながら立ち上がった。
周囲を照らすのは石灯籠に灯されたろうそくだけ。身に覚えのない場所だった。

"妾の元へ"

再びあの声が聞こえてきた。石灯籠が続く道の先に、声の主はいるようだ。

「そっちに行かないほうがいいような気がするけれど、反対側は真っ暗だし…」

今日のライブでは、RORの時にマイクがないというハプニングが起きたが、とりあえずもあゆいと共にダンスを全力で続けた。そうすればスタッフさんが必ず助けてくれると思ったから。

今は一人。あの時楽屋でみんなと別れ、単独行動をしたのはまずかったのかもしれない、と若干後悔をしつつ、すず香は歩き出した。

「君が信じるなら、進め 答えはここにある、だわ」


【霊狐塚奇譚 EP.2-2】
 
ゆい「すぅちゃんちの近所といっても、結構広いね」
もあ「いつも由結の家か最愛の家で集まるから、すぅちゃんの家のあたりはあんまり知らないしなあ」
ゆい「二人だけでは聞き込みも大変だよ」
もあ「うん…そうだ、こういう時はなたひーを呼ぼう」
ゆい「なたひー?確かギリギリまでこっちにいるって言ってたね」

もあ「そうなの…手分けして探さないといけないの」
ひなた「わかった、 すぐに珍獣捕まえて科学部出動するから、待っててね」
ゆい「珍獣って…りのんとまりまりの事?」
もあ「そう呼べるのはなたひーだけだわ…」

ゆい「りのん、受験勉強してるところごめんね」
りのん「いやー、ぶっちゃけ全然進んでなくて。でもすぅさんに何かあったら在校生も困るんで」
まりな「もあくんとゆいくん、困った時はお互い様だから」
もあ「同期の二人にまずは相談したいところだったけれど、はなは虎姫一座で休みなしだし、ゆなのはアスマートの発送作業に追われてて…」
ひなた「でもすごいじゃん。ここまで絞り込んだっていうのは」
ゆい「本職…なのかな、まあ頼りになる大先輩のおかげなんだけどね」
もあ「それじゃ、このコンビニを中心としてなたひーは東、まりっぺは西、りのんは南、最愛は北。それぞれ別れて聞き込みしよう」
ゆい「由結は?」
もあ「由結はコンビニでノート買って、まとめ係ね。さすがに街中では模造紙広げらんないいでしょ?」


【霊狐塚奇譚 EP.2-3】

ゆい「みんな、どうだった?」
もあ「流石に年末の夜だけに、あんまり外に出ていた人もいないみたいだね」
りのん「どこいっちゃったんだろう…すぅさん」
ひなた「りのん、あんたの鼻ですぅちゃん追えないかしら」
りのん「いや、そういう風に思っているのはなたひーだけだから」
もあ「元副生徒会長はまだ戻ってきてないんだ」
まりな「ごめんっす」
ゆい「まりまり、すぅちゃんの情報はあった?」、
まりな「あっちのほうに、小さな祠があるっす。そこが怪しいって妖精くんが」
ひなた「いや妖精じゃなくてまりっぺの勘でしょ?」
まりな「昨日じゃないんだけれど、すぅちゃんは時々お参りしていたっていう話は近所のお年寄りから聞いて、行ってみたっす」
もあ「このメンバーが揃うと、ありえないおかしなストーリーになってくるな」
ひなた「科学部部長としてはそんな非科学的な事は信じたくないが…」
りのん「でも、こういう時は妖精くんにかけるのもありと思う」
ゆい「なんだかりのん、大人になったねぇ」
りのん「転入生にもファンタジーな子がいるんで、扱いは慣れてるもんで」
もあ「よし、その祠に行ってみよう。何かの手がかりがあるかも」
りのん「ダイイングメッセージ?」
ゆい「こら!縁起でもない」


【霊狐塚奇譚 EP.3-1】

どのくらい歩いただろうか。時間も、方向もまるでわからない。
初めて、一人で上京してレッスンに向かった日のことを思い出しながら、すず香は歩き続けた。

気がつくと、岩が不均衡に転がる場所に着いていた。
「なんだか足場が悪いなあ…あれ、これは…キツネさんの石碑じゃない。どうしてこんなにメチャクチャなのかしら。耳が欠けていたり、尻尾が折れていたり、首がない子もいる。なんだか、かわいそう」

そこは、霊狐塚であった。願掛けが叶った信者達によって奉納された狐の石像が集められた場所。しかし、石像の痛み具合から察するに、随分昔に寂れてしまったようである。

"よくぞ妾の元に参った、踊り巫女よ"

あの声が再び聞こえる。しかしその姿はすず香には見えない。

「あの〜、せっかくだからお顔見たいんですけど。それと、オドリミコって何ですか。初音ミクなら知ってるけど」

"妾の名は荼枳尼真天。稲荷神とも呼ばれておる"

「あ…あの祠の神様?今年も一年、なんかーいろいろあったけれど無事に乗り切れました。ありがとうございました」

"近頃は近所の年寄りしか寄り付かなくなってしまい、すっかり妾の社も寂れていたところ、其方が参ったのだ"

「私達、キツネ様のお告げなんて勝手に言っちゃってたし、ちょうどうちのご近所に赤い幟を見つけたんで、お参りするようになったんですよぉ」

BABYMETALとしての数々のハプニング、そして知らず知らずのうちにまりっぺのファンタジーワールドに付き合わされてきた結果、この程度の不可思議な事では動じないすず香である。


【霊狐塚奇譚 EP.3-2】

まりな「ここっす!」
ゆい「祠というか、塚ってところだね」
もあ「塚っていうと古墳とか、そういう感じ?」
ゆい「古い神社は、地域の有力者のお墓に建てられていたりするしね」
りのん「さっきから意味わかんない…あ、なんか看板がある」
ひなた「ここの祠の由来が書いてある。狐塚かぁ…新潟にも何ヶ所かそういう地名の場所があるね」
りのん「なんか、この絵の女の人、すぅさんっぽくない?」
まりな「お稲荷さんっていうのは、荼枳尼真天っていう女性の神様のことなんっす」
もあ「どれどれ…ちょっとエロティックだねえ」
ゆい「キツネさんに乗った女の人か」
ひなた「すぅちゃんのことだから、真面目にここをお参りしてたんだろうね」
もあ「寄り道するところって、ここだったのかなあ。でもここまで来たら家まであとわずかしかないのに」
りのん「…ん〜、やっぱりすぅさんじゃないか」
ひなた「こらこら、中学生があんまりジロジロ見るんじゃないよ」
りのん「だって、こんなにすぅさんはグラマーじゃないでしょ」
ゆい「言えてる〜」
もあ「何か、入り口みたいなものはないのかな」
ゆい「もあ、危ないよ」
りのん「なんか扉みたいのがあるよ」
まりな「みんな〜こっち来るっす!」
ひなた「あれ…ひなたのブレードアンテナが反応してる。すぅちゃん、こっちかも」
ゆい「…行ってみる?」
もあ「こうなったら科学部の3人にバグがない事を祈るしかないね」


【霊狐塚奇譚 EP.3-3】

「神様、すぅは今年頑張りました。苦手な英語も勉強したし、言葉が通じなくても全力でパフォーマンスすれば、みんなの心に伝わるんだってレディングで学びました」

"其方には、持って生まれた踊り巫女としての力がある。全てを妾に委ねれば、これからもBABYMETALは必ずや栄える事であろう"

「来年はウェンブリーのO2アリーナを成功させたいし、世界中を回って、私達に多くの方に驚いてもらって、笑ってもらって、一緒に歌って、仲良くなってもらいたいんです。でも…」

"案ずる事はない。其方は妾のヨリマシじゃ。其方は妾の身体となり、全てを委ねればよい"

「確かにすぅは、Su-METALとしてステージに立っている間の事は覚えていないし、記憶のない時間が増えているような気がする」

"ここに其方を呼んだのは他でもない。其方の身体を妾に差し出すのじゃ。妾が其方となり、其方が妾となるのじゃ"

「すぅはSu-METAL
だし、すぅだけど…ごめんなさい、神様にはなれません」

"妾の踊り巫女よ、全てを委ねよ!"
 

【霊狐塚奇譚 EP.4-1】

ゆい「おばけでそうな感じ…」
まりな「妖怪くんがついてるっすよ」
もあ「まりっぺが見えるのはくつだるとかでしょ?」
ひなた「あの子達何かあったら真っ先に逃げそうだけどねぇ」
りのん「…」
もあ「りのん怖がりだもんね」
りのん「人前じゃ泣かないんだから。そんなの格好悪いし」
まりな「どのくらい歩いたのかしら」
ひなた「そこで腰かがめて手を額に当てなくていいから」
まりな「ついスリープワンダーの振りなっちゃうっす」
もあ「ちょっと、何か聞こえない?」
りのん「ん…ちょっとまたそんな」
ひなた「ブレードアンテナが光ってる。すぅちゃん、近くにいるんじゃない?」

"きーつーねー きーつーねー…"

ゆい「メギツネ!すぅちゃん?」
もあ「ちょっと待って…なんかケロケロしてる」
ひなた「すぅちゃんはオートチューン使う必要ないじゃない」
りのん「なんか〜、違う人とハモってる感じがする」
まりな「これはすぅちゃんの歌い方と違うと思う」
ゆい「いや…このブレスはすぅちゃんで間違いないよ」

"わーたーしーはー めーぎつねー"

もあ「じ、じゃあ、カウントするから、みんなで声をかけてみようよ」
ゆい「わかった」
もあ「1.2.3.4!」
もあゆいひなたまりな「すぅちゃん?」
(りのん「すぅさん?」)


【霊狐塚奇譚 EP.4-2】

"由結、最愛、よくここがわかったな。おや、おまけも付いてきたのかい"

もあ「すぅちゃん、なんて格好してるのよ」
ゆい「ペチャなんだから無理してもダメよ」
まりな「すぅちゃんがさくらの校則破ったらダメじゃない!」
りのん「さっきの看板の絵みたい…胸以外」
ひなた「噴いたw」

"妾の名は、荼枳尼真天"

ひなた「すぅちゃん、身体乗っ取られてるんだ」
りのん「神降臨ってやつ?」
もあ「むしろ、取り憑かれてるという方が正しいかな」
まりな「すぅちゃん、わかる?まりなだよ!」
ゆい「すぅちゃん…」

"すず香は、妾の力を求め、妾はすず香の身体を求めた。すず香というヨリマシをえて、次は妾の力を手にするのじゃ"

もあ「ダキニシンテン…なんか聞いたことがあるんだけど」
ひなた「透視スコープですぅちゃん見たんだけど、メチャクチャ戦闘力高いよ」
りのん「レッスンの時キレてるすぅさんも凄かったけど」
まりな「ダーキニー…」
ゆい「あれぇ?どっかで聞いたことある」
まりな「荼枳尼真天って、元はインドの神様のはず。それが様々な国を経て、日本のお稲荷さんと結びついたっす」
ひなた「ちょっとググってみる」
りのん「確か、女神転生とかに出てくるんじゃなかったかしら」
ひなた「ダーキニーの好物は…人の心臓」
もあ「力って…まさか」


【霊狐塚奇譚 EP.4-3】

"妾は何百年もここに閉じ込められて、欲深き人間共の願掛けに付き合っているうちに、すっかり霊力が弱ってしまった"

まりな「でも、この辺のお年寄りは結構マメにお参りしてるって聞いたっす」
ゆい「でも、ちょっとカビ臭かったかな」

"昔は町娘や遊女が来たし、縁日には大勢集まって、賑やかなものじゃった。ここにある狐の石像は、願いを叶えてやった人間共が寄進したものじゃ"

もあ「仲良くやってたんじゃない」

"しかし、いつしか妾の事は忘れさられ、誰も立ち寄らなくなってしまった"

りのん「神様も人気商売かぁ。アイドルと一緒かも」
ゆい「この人、ひょっとして寂しいのかしら」
ひなた「ひなたの地元には美味しい油揚げがあるんだけど」

"油揚げはもう飽きた。それに、霊力を満たしはしない。それに…"

もあ「それに?」

"由結と最愛、其方達の心の臓を喰らおうぞ"

ゆい「……」
りのん「ゆいちゃん、白目!」
もあ「ちょっと、こんなところでネタしてる場合じゃないでしょ!」
まりな「ゆいくん、本当に気を失ってるっす」

"やはり霊力が足らぬか。まあちょうど良い。おあつらえ向きに5人も居るわ"


…ゆいちゃん、ピンチ!


【霊狐塚奇譚 EP.5-1】

もあ「由結を守りながら、あの凶暴なすぅちゃんと戦うなんて…」
りのん「まりっぺ、妖怪でも妖精でもいいけど、どうにかなんないの?」
まりな「もあくんのところにはパーカーズがいるけど」
りのん「なんか頼りにならなそう…」
ひなた「ゲームでは、ダーキニーは氷結系の呪文に弱いって設定あるみたい」
もあ「じゃあ、そういうキャラ呼んでよ」
まりな「シーン霊なんかどうっすか。ダジャレで空気を凍らせるっす」
ちのん「この話自体、すでに滑ってるって」
ひなた「氷か…これ以上巻き込みたくないけど、仕方ない。連絡してみる」
もあ「可能性があるなら賭けてみようよ。このままじゃ全員食べられちゃうだけだし」
ひなた「…そう、そこのコンビニでありったけ買っていいから。そうそう、領収書は小林で。こんな時間だからバレないようにしなさいよ」

"小童ども、逃げても無駄ぢゃ。妾には全てお見通しなのじゃ"

もあ「りのん、あんたは船になって」
りのん「え、だってそれはねねどんとか、さらが」
もあ「この中で一番大きいのはりのんでしょ?それに、認めたくないけど由結はダイエット成功してるからむしろ前より軽いはずよ。すぅちゃんという荒波をうまく避けるのよ」
りのん「うーん、やってみる」
もあ「そうだ、まりっぺはヴァンガードでやってる通り、カードバトルですぅちゃんを攻撃」
まりな「わかったっす」
もあ「なたひーは…」
ひなた「とりあえず援軍が来るまで、ゆいとりのんを守りながら武器の準備をするよ」
もあ「最愛は、とにかく走って逃げて、かき乱すから」

"さあ、大人しく妾とすず香の血肉となれ!"

もあ「そう簡単に諦めない。見つけられるもんなら見つけてみなさいよ!」


【霊狐塚奇譚 EP.5-2】

まりな「はー、ミュージカルのお稽古してるから大丈夫かと思ったんだけど、やっぱりしんどいっす」
りのん「りのんはずっとゆい背負いながら逃げてるんだから!」
ゆい「……」
もあ「ちょっとぉ、まりっぺ!ちゃんと攻撃してるの?ちっとも弱ってない感じだよ」
まりな「カードバトルって必ずしも都合の良いカードが出るわけじゃないっすよ」
ひなた「やっぱりゲームの設定通り、氷結系以外に弱点はないのかなあ」

"由結、早く妾の元に参れ"

りのん「 ちょっと船長、暴れないでよ」
ひなた「まずい、ゆいまで操られる!みんなで抑え込んで!」
もあ「 ちょっとすぅちゃん、3人でBABYMETAL、っていつも言ってるじゃないの。私達居なくなっちゃってもいいの?」

"モアチャン、ミンナト、ココカラ、ニゲテ…"

もあ「すぅちゃん?」

"ゴメンネ…カラダガ、イウコトヲキカナイノ。コノママダト、スゥハ、ミンナノ、シンゾウヲ、タベチャウカラ…ハヤク、ニゲ…"

"すず香、邪魔をするな!二人を喰らうは、其方がためでもあるのだぞ"

ゆい「すぅちゃん!負けないで!」
もあ「由結!意識が戻ったの?」
ゆい「すぅちゃんは、今自分の中でダーキニーと戦っているんだよ。そのおかげでゆいにかけられた霊力が弱まったみたい。りのん、ありがとう!」
りのん「ふー、船は大変だわ。さらを労ってあげないと」
めぐあい「みんな、お待たせ!」
ひなた「あれ?めぐも来ちゃった!」


【霊狐塚奇譚 EP.6-1】

ひなた「あいこ!もー、寮抜け出す時に気をつけなさいって言ったでしょ?」
めぐみ「だって、あんな時間にあいこが出かけるなんて、アイス買いに行くに決まってると思って…」
あいこ「まあアイス買いに出たのは間違いないけど…ひなたちゃん、これでいいですか?」
もあ「何買ってきたの?」
ひなた「氷の攻撃に弱いということは、アイスでも効くんじゃないかと思って」
ゆい「なるほど…ガ○ガ○君にみぞれ、こっちの小さいのは手榴弾かな」
りのん「部長!作業完了しました」
まりな「ふー、攻撃する前にこっちが凍えそうっす」
もあ「もしかして…」
ひなた「ドライアイスを貰ってきてもらったのは、こいつのため…最終兵器、CO2ガン!ゆいともあはライブで慣れてるでしょ?ロヂカ?チューンで出力改造しておいたから。」
あいこ「あの…」
ひなた「何?」
あいこ「あいこのアイス、残してくれますよね?」
りのん「それはあのキツネさん次第かな」
めぐみ「めぐ、知ってる知ってる!すぅさん荼枳尼真天のコスプレしてる!」
ゆい「そんなゆるい状態じゃないんだけどね…」
まりな「私達の絆の力で、すぅちゃんを取り戻すっす!」
もあゆいまりなひーりのんめぐあい「おーっ!」


【霊狐塚奇譚 EP.6-2】

"なんだ、また妾の贄が増えたのか。すず香よ、そろそろ其方の力も尽きる頃かのぉ"

あいこ「私のしってる、やさしいすぅさんじゃない…」
もあ「今のすぅちゃんはダーキニーに操られているの」
めぐみ「江戸時代、稲荷信仰が広まったのは大岡越前さんが自分の家に作った社を民衆に開放したことがきっかけなんです」
まりな「さすがは歴女のめぐくんっすね」
めぐみ「でも、ここのお稲荷さんはちょっと違う感じ」
りのん「とりあえず、一発アイス砲をお見舞いしてみよう。それ!」

"つ、冷たい!小癪な"
"ハヤク、ニゲテ…"

ひなた「効果はありそうね」
あいこ「すぅさんがアイスまみれに…勿体無い」
ゆい「食べ物は粗末にしちゃいけないけれど、すぅちゃんを助けるためには仕方ないわ」
もあ「それじゃ、まりっぺとなたひーは左、めぐあいは右から、すぅちゃんを狙って」
りのん「りのんは?」
ゆい「りのんはセンターから遠投!」
もあ「由結、CO2ガンの用意はいい?」
ゆい「最愛、任せて!私達も上手と下手に別れよう」

"BABYMETALハ、スゥダケノモノジャナイ!フタリヲ、ミンナヲ、マキコムノハ、ユルサナイ!"

"まだ妾に刃向かう力が残っているとは…放すのじゃ!"

ゆい「すぅちゃんの動きが止まった!」
もあ「攻撃開始!いっくよぉ〜」

(ベチャ、グチャ、バキッ)

"や、やめろ!苦しい、冷たい〜"

もあゆい「それ、クロスオーバーCO2!発射!」

(ぶしゅぅぅぅ)

まりな「うわ、まったく前が見えないっすよ」
ひなた「しまった、出力を上げすぎたか」
りのん「ふーん」
ひなた「だからふーん、じゃないし!」
めぐみ「すぅさんは?もあちゃんとゆいちゃんは?」
あいこ「あそこにいるよ」

…ロヂカ?チューン、謎…


【霊狐塚奇譚 EP.7-1】

♪まだまだセイヤソイヤ戦うんだ
悲しくなって立ち上がれなくなっても



もあ「終わった…かな」
ゆい「すぅちゃん、大丈夫?」
すぅ「さっむい…つめたい…ベトベト…クチュン」
ひなた「やった!成功だ!」
まりな「すぅちゃん、おかえり!」
すぅ「みんなごめんね、そしてありがとう」
もあ「よかったぁ…(涙)」
ゆい「すぅちゃん、ありがとう」
すぅ「こちらこそ…クチュン」
りのん「ダーキニーは、どこにいったの?」
すぅ「ダーキニー?ああ荼枳尼真天さんなら、今もすぅの中にいるよ」
あいこ「えー、もうあいこが食べる分のアイスしか残ってないから!」
ひなた「どれどれ、透視スコープで…さっきほどじゃないけれど、すぅちゃん、戦闘力高っか!」
すぅ「あの神様、ちょっと寂しくてふてくされちゃったのよ。みんなにかまってほしくて、こんな事をしたみたい」
まりな「すぅちゃん、変わったところはないの?妖怪くんが見えるとか」
すぅ「みんなの絆の力が神様を上回って、完全にすぅの中に封じ込めたよ」
めぐみ「じゃあすぅさん、御神体ってわけ?」
りのん「ずいぶんポンコツな御神体だこと」
すぅ"磯野さん、妾の贄になりたいのかしら?"
りのん「ひえぇ、睨んだ時の視線が前より恐い!」


【霊狐塚奇譚 EP.7-2】

ひなた「お稲荷さんっていうのは霊験あらたかな神様だけど、信心を怠ると祟られるというわね」
めぐみ「中には、人を騙すよくないキツネさんもいたみたいだし」
ゆい「でもすぅちゃんは、ここを結構お参りしていたんでしょ」
すぅ「そう、だからCDJが終わってからネギ買ってお供えしようと思ったの」
もあ「お稲荷さんには油揚げでしょうが!」
まりな「あ〜、そういえばお年寄りも言ってたっす。熱心だけど変なものお供えするみたいだって…」
すぅ「いっつもお揚げじゃ、神様も飽きちゃうかなと思って」
ひなた「だから、元々の好物を思いださせちゃったんじゃないの!」
りのん「あいこ、めぐ。この事は父兄さんや先生はもちろん、他の生徒にも言っちゃダメだからね!」
めぐみ「あいこがアイス食べまくった事もね」
あいこ「めぐ、わいをうったくってやっが!かっごをせえよ!」

もあ「ところで、すぅちゃんはこれからもずっとダーキニーと一緒なの?」
すぅ「たぶん、すぅの中にいた方が神様も安心すると思うし、この神様も"We are the ONE"かなって」
ゆい「由結はもう、白目剥いて倒れたくないんですけど」
もあ「もしすぅちゃんが暴走したら、ライブ中でも頭からバケツで氷水をぶっかけてあげるよ!」
すぅ「え〜…クチュンっ」
もあ「それじゃ、みんなですぅちゃんちに行ってあったまろう!」
めぐみ「その前に…せっかくだから、ここのキツネさん達、きれいにしていこうよ」
まりな「そうっすね。ちょっと汚しちゃったし」

〜Fin〜


【霊狐塚奇譚 キャラクター設定】

28日よりお付き合い頂きました小説、最初はタイトルもなく始まりましたが、どうに三が日で投了いたしました。皆様お付き合いありがとうございました。

ここで、本作のキャストのキャラクター設定について。

もあ:少し慎重派、しかし行動を起こすときの決断力でリードする、「ハートの地球」の「ラクサの村長」をイメージしています。
ゆい:強さの裏返しの脆さ、儚さを感じるゆいちゃん、今回はすぅちゃん共々みんなに助けられる役回り。
ひなた:珍獣ハンターを自称した瞬間、ロヂカ?には出てもらおうと決めましたw
りのん:天才の奔放さと、現役会長としての冷静さ。最近のりのんは安定感がありますね
まりな:キャラクターの宝庫、困った時のまりっぺです。5日から舞台が始まることも意識したのですが、カードバトルってよく知らないんで、消化不良になりましたね。
あいこ:アイスといえばあいこでしゅ(笑)歌詞を確認していないので、グーグル先生に教えてもらった鹿児島弁ですw
めぐ:めぐは三河に帰っている設定で始めたのですが、めぐあいをセットで起用してみたなりました。歴女キャラはこれからも多用しそうです。
らう:たぶんご家族でバカンス中w
はな:虎姫一家の新春公演に新日プロレスイッテンヨンとお忙しい(はず)
ゆなの:ゆなのちゃんの腹黒さは使いたいんですが、やっぱりアスマートでバイトしてるっていう以前考えた設定からどうしても抜け出せずw 
すぅ:あえて、クイーンをやられ役に持ってくるというのは当初からのプロットでしたが、最終的にクイーンも内面的に戦わせてしまった事は、筆力不足だなあと反省しています。