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-【黒 狐】-

第7章297~301 10月23日

黒狐

もあ「黒いキツネさんがいたんだって!」
ゆい「しっぽだけは真っ白だね」
すぅ「黒いキツネさんは北斗七星の化身で、平和の象徴なんだって」
もあ「そっか、平和の象徴かあ。でもいたずらっ子ぽくてキャワイイね!」
ゆい「BBMのキャラクターにしたいな。後でおとうさんに相談してみよう」

もあ「あれ?なんかいるよ」
ゆい「黒くってしっぽが白い…」
すぅ「ちょっと二人もからかわないでよ!」
もあゆい「イカナクチャ…黒狐サマノトコロ二、イカナクチャ」
すぅ「ちょっと、ゆいちゃん、もあちゃん、どこ行くのよ!」
もあゆい「イカナクチャ」

すぅ「あっちかな?、こっちかな?…もうすっかり暗くなっちゃったし…」
すぅ「ここどこなんだろう…みぎひだり?きょろきょろり?」
すぅ「おーい!もういいかい?もういいかーい⁉︎」
もあゆい「マアダダヨ!」
すぅ「ん?もあゆいの声!よし、もう一回だ。おーい!もういいかい?もういいかーい⁉︎」
もあゆい「マアダダヨ!」

二人の声の方を向くと、そこには千本鳥居が。

すぅ「暗い中に、こんなにたくさんの鳥居があると、ちょっと怖いな」
もあゆい「マアダダヨ…」
すぅ「でも、二人の声はこの鳥居の向こうから聞こえるし…行ってみよう」

千本鳥居の奥の小さな社には、メギツネコスチューム姿に、キツネの耳をつけたもあゆいと、一匹の黒いキツネがいた。

すぅ「ちょっと!ハロウィンにはちょっと早いぞ。もう遅い時間だから帰ろう!」
ゆい「カエラナイ…黒狐サマト、ココニイル」
すぅ「ずいぶん手の込んだイタズラだなぁ。もあちゃん、ママに叱られるよ」
もあ「黒狐サマノ、トナリガ、トッテオキノ、バショ」
すぅ「さっきから二人とも…くろこさま、って誰よ?」
もあゆい「黒狐サマハ、ココニイル」
すぅ「どこにいるのよ、なんなのよ!おしえろぉぉぉぉ!」
黒狐「ココニイルヨ」
すぅ「黒いキツネさん、私達と話せるの?」
黒狐「モチロンダヨ…Su-METAL」
すぅ「あなたがキツネ様なの?」
黒狐「オイラハ、黒狐ダヨ。キミタチノイウ、キツネサマジャナイ」
すぅ「黒狐さん、もあとゆいを帰して。」
黒狐「ソレハ、デキナイ」
すぅ「どうしてこんなことするの?黒いキツネさんは、平和の象徴なんでしょ!」
黒狐「ソレハ、ニンゲンガ、カッテニキメタコトダヨ」
すぅ「二人をどうするの?」
黒狐「YUIMETALト、MOAMETALハ、コレカラズット、オイラトクラスンダ」
もあゆい「ズット、イッショ」
すぅ「ふざけているとすぅだって怒るよ!二人ともいい加減にしなさい!」
もあゆい「カエラナイ…黒狐サマト、ズット、イル」
すぅ「黒狐さんが、ふたりに何かをしているのね。どうしてそんな事するの?」
黒狐「シカエシダヨ。ニンゲンタチヘノ、シカエシダヨ」

すぅ「人間達への、仕返し…」
黒狐「ソウダ、ニンゲンタチハ、オイラノスベテヲ、ウバッタ」
すぅ「黒狐さんの、すべて?」
黒狐「ニンゲンタチハ、オイラタチノ、スミカヲ、ウバッタ。タベモノヲ、ウバッタ。そして…」
すぅ「そして?」
黒狐「オイラノトウチャン、カーチャン、イモウトタチ、カゾクヲ、ウバッタンダ!」
すぅ「家族?どうして?何があったというの?」
黒狐「オイラタチハ、ニンゲンニツカマッテ、ソダテラレタ。ヤマカラオイダサレ、ヨウコジョウニ、イレラレタ」
すぅ「養狐場?」
黒狐「ソウダ。ニンゲンガキツネノケガワヲトルタメノ、シセツダヨ」
すぅ「毛皮…」
黒狐「ケガワヲハグタメニ、トウチャン、カーチャン、キョウダイタチハ、ミンナ、コロサレタ」
すぅ「そうだったんだ…」
黒狐「ニンゲンノメヲヌスミ、オイラトイモウトハ、ヨウコジョウヲ、ヌケダシタ」
すぅ「殺されずに済んだんだね。で、妹さんはどうしたの」
黒狐「マエニ、ニンゲン二ミツカッテ、シンブンニショウカイサレタトキ、オイラタチミタサ二アツマッテキタニンゲンノクルマニ、イモウトハヒカレタンダ」
すぅ「そうなんだ、黒狐さん、かわいそう…つらかったんだね」
黒狐「オイラハ、ヒトリボッチ二ナッテシマッタ。ソンナトキニ、BLACK BABYMETALノコトヲシッタンダ」
すぅ「あのー、BABYMETALは3人組なんですけど」
黒狐「4ノウタデハシャグフタリ、オネダリダイサクセンノダダッコスルフタリヲミテイタラ、イモウトタチノコトヲ、オモイダシタ」
すぅ「まあ、あの2曲のもあゆいのかわいさは認めざるをえない」

黒狐「ダカラ、フタリニキヅイテモラウタメニ、マタニンゲンノマエヲウロツキ、シンブンニノッタ」
すぅ「確かに、あの記事が無ければ私達はあなたを知らなかった」
黒狐「キガツイテクレタBLACK BABYMETAL二ハ、オイラノイモウト二ナッテモラウ」
すぅ「そんな事勝手に決めてもらっちゃ困ります」
黒狐「ニンゲンタチカラ、BLACK BABYMETALヲウバウ。コレガ、オイラノフクシュウダ」
すぅ「ひとり残される私はどうするのよ!」
黒狐「Su-METAL二ツミハナイガ、オマエモニンゲンダ。アイスルモノヲウシナウカナシミヲ、ニンゲンモアジワウガイイ」
すぅ「黒狐さん、考え直して!私、キツネさんとは戦いたくない」
黒狐「ダメダ。モウキメタコトダヨ。オイラハ、MOAMETALトYUIMETALト、ズットクラスンダ」
すぅ「わかった…じゃあ、1曲だけ歌わせて」

静まり返った社の森に、NO RAIN,NO RAINBOWが響き渡る。

もあ「私達、どうしてこんな格好してるの?」
ゆい「すぅちゃん、外でそんなに大きな声出したら、また先生に怒られるよ」
すぅ「ゆいちゃん!もあちゃん!気がついたんだね!」
黒狐「バカナ!オイラノマジュツガ、ニンゲンニヤブラレルナンテ!」
すぅ「黒狐さん、ゴメンね。でも、2人がいなくなったら私もあなたをゆるせなくなる」
黒狐「Su-METAL、キミノウタノチカラヲ、オイラミクビッテイタヨ」
すぅ「黒狐さんにこれ以上さびしい思いはさせたくない」
黒狐「マケハ、マケダ。オイラハ、ジブンノヤクメヲステテ、ワルイコトヲシテシマッタ」
すぅ「黒狐さんがさみしくならないように、いつも一緒にいようよ」
黒狐「ソレデイイノカ」

すぅは黒狐を抱き上げると、黒狐の全身が光だし、天空に向かう一筋の光の柱となり、やがて社も、鳥居も、 消えてしまった。

ゆい「黒狐さんは死んじゃったの?」
すぅ「ううん、黒狐さんは、私達といつも一緒にいるよ。さあ、遅くなっちゃったから急いで帰ろう!」
もあ「あ、北斗七星!」

北斗七星は、3人の道筋を照らすように、普段よりもはっきりと輝いていた。

Fin