bm-koishikeribu(yui)
Pinwheel87さんの作品集

ベビメタ童話-『ドラゴンフォース』

第6章143.144.145.146-13日 01:51
新BABYMETAL童話 〜ドラゴンフォース

(その1)
海に突き出した切り立つ岩。所々に値を張った南洋の植物と真っ青な空のコントラストが爽やかな風を感じさせる。その岩の遥か上、空を見上げると最愛がドラゴン達と遊んでいた。最愛はドラゴンの背中に乗り、宙返りをしたり、ドラゴンからドラゴンへと飛び移ったりしながら空の遊園地を思う存分楽しんでいた。
「由結〜!由結もおいでよ〜、すっごい楽しいよ!」
由結は、岸壁の中程、海に向かって突き出した岩のテラスに座り、最愛を見上げていた。
最愛は、由結に軽く手を振るとドラゴンの背中から、いきなり飛び降りる。
「あ、危ない!」
由結は悲鳴を上げながら海に落ちていく最愛を必死で目で追うと、海に落ちる寸前でドラゴンが最愛を優しく受け止め、再び急上昇していく。
「ふ〜、危ないって!驚かせないでよ〜」
由結がドキドキしながら不満を言うと、由結の周りにいた4匹のドラゴンが話し始める。
ニム 「どうして由結は俺たちに乗らないんだ?」
ベン 「そりゃ、俺たちが怖いからだな。」
チト 「確かに、俺たちの顔はヒドイもんだ。」
由結 「そ、そんなことないよ。みんな優しいし、怖くなんかないよ。」
プリ 「でも、もう由結達がここに来て1週間だよ。その間、由結は僕たちに触ろうともしないよね。」
ニム 「ああー、プリ。可哀想なやつだ。お前は由結が好きなんだな。報われない恋ってやつだな。」
チト 「やっぱり、俺たちは嫌われてるな。顔がヒドイからさ。」
由結 「違うって。だ、だってね。いきなりこの島に来ちゃて、何でこの島に由結たちが居るのかとか理解できないし、ドラゴンさん達がいることとか、心の整理がつかないから。。。嫌ってるわけじゃないよ。」
そういうと、由結は恐る恐る手を伸ばし、ドラゴンの頭に手を触れてみた。
プリ 「やったあ!見た?由結が僕の頭を撫ぜてくれた。」

(その2)
ニム 「撫ぜたって程じゃないけどな。一応、触ったな。」
プリ 「よし、じゃあ僕が背中に乗せてあげるよ。さ、乗ってみて。」
プリは、岩にテラスに羽をもたせ、由結が乗りやすいように背中を突き出した。
でも、由結は立ち上がろうともせず、首を横に降った。
由結 「ダメ、由結はあんな高いところ無理。最愛みたいにできないよ。」
ベン 「空で遊ぶのは楽しいぜ。勿体ないな。由結なら最愛と運動神経も引けをとらないのに。きっといいドラゴン乗りになれるぜ。」
ニム 「俺たちのことが怖くないとすると…。俺が思うに、由結は自分が怖いんだな。」
由結 「えッ?」
ニム 「俺たちに乗って、最愛みたいに空で遊ぶ由結になることが怖いんだ。」
チト 「あー、俺たちみたいな不細工と遊ぶ由結がイヤってことか。」
ベン 「そんな由結は可愛い由結じゃないってわけだな。」
プリ 「それって、つまり、由結と僕たちじゃ似合わないってこと?」
由結 「そうじゃないけど。。。。。。最愛はどう思うかな?怖がりな由結が、最愛と一緒に空で遊ぶようになったら、最愛はつまんないっていうか、チェッ、由結も出来るのかよ、みたいな?なんか、ガッカリしちゃうんじゃないかしら。」
ニム 「だから変わりたくない?」
ベン 「それが怖いってことさ。友達だからな。そういう気にしなくてもいいことをあれこれ怖がるのが友達ってもんだ。」
ニムは由結の後ろに回ると、いきなり由結を抱え上げてプリの背中に乗せ、由結の背中を優しく叩いた。
ニム 「ここは夢の島さ。とにかく飛んでごらん。」
由結を背中に載せたプリは、由結が怖がらにようにゆっくりと岸壁を離れると由結に囁いた。
「僕の角をつかむと怖くないよ。」

(その3)
由結は、遥か下に広がる海を見ないように目を閉じながら、プリの頭の方に必死で手を伸ばし、手探りで角を探り当てた。
「それが角だよ。さあ、握って!」
由結が必死で角を握ると、プリは空に向かって急上昇しながら叫んだ。
「由結、目を開けて!」
由結は、目を開けた。空に浮かんだ白い雲がどんどん近づいてくる。青いそらが眩しかったが髪を梳かす風が気持ちよかった。プリは上昇を止め、背中を水平に戻して緩やかに旋回を始めた。
「どう、空の上は。恐いかい?」
「全然怖くない。こんな高いのに。海があんなに遠くに見えるのに。」
「それで?」
「すっごい、自由だ!」
その言葉を聞くと、プリは再び上昇を始めた。
「由結、宙返りするよ!」
プリは楽しそうに言うと、大きく宙返りを行い、続いて急効果しながら回転した。
「すごーい。こんな楽しいジェットコースター無いよ〜!もう一回!」
由結とプリは、空のジェットコースターを何回も繰り返し笑いあった。
「由結〜!」
振り返ると、最愛がドラゴンに乗り、すぐ近くに来ていた。
「最愛、由結も来ちゃった。テヘ(^^♪」
「やっぱり来ちゃったか。もっと早く来れば良かったのにw 空は気持ちいいでしょ!」
「気持ちイイね!最高!」
そう言うと、由結とプリはさっきより高速で宙返りを始めた。
「ね、由結がやる気になったら、きっと上手く乗りこなせるって言ってたでしょ。」
「ちょっと不満か?」
「ちょっとね。なーんだ、みたいな?でも、それより二人で遊ぶ方が楽しいじゃん。」
そう言うと、最愛とドラゴンも由結の後を追った。
それから二人は空の遊園地を思う存分楽しむと、岩のテラスに戻り、岩を背もたれにして並んで腰を下ろした。

(その4)
「最愛、すっごい楽しいね!」
「でしょ?だから、何度も誘ったのに。」
「だって、恐いもん。最愛みたいに何も考えないのと違うもん。」
「ポジティブと言ってよ。だって、クヨクヨしてもしょうがないでしょ。」
「最愛は凄いわ。最愛が居てくれてよかった!由結もちょっと変われたかな?」
「さあ、どうでしょ。最愛はもっと高いところに行っちゃうからね。」
「今度は、最愛一人で行かせない。絶対追いついてやるから。追い抜いちゃうからね!ww」
そんな二人の様子を伺っていたドラゴンのニムが口を開いた。
「そろそろかな。二人とも、帰る時が来たみたいだな。」
プリが寂しそうに小声で言う。
「二人とも、僕の背中に乗って。」
「私たち、帰るの?帰れるの?」
「そうみたい。僕が送っていくよ。」
プリの言葉に、二人はドラゴンの背中に乗った。
由結「ドラゴンさんたち、ありがとう。」
プリは何も言わずに岸壁から離れ、急上昇した。どこまでも高く。

「由結、起きて!」
最愛の声に、由結は目を覚ました。
「早く起きないと、置いてくぞ!ww」
「うん?今日は何だっけ?」
「テレビのインタビューでしょ!ま、由結が来れないってことで、最愛が沢山しゃべってもいいけど?」
「ダメ、由結、言いたいことがイッパイあるんだから。どんどんYUIMETALをアピールしちゃうからね!」
「おッ、なんか挑戦的。最愛も負けないよーッダ!」
「うん。それでいい。由結はね。最愛の御陰で、すっごい自由な気分なのww。」
「ふ〜ん?じゃあ、行くよ!ポジティブ由結ちゃん!」
「あっ、ちょっと待ってよ〜。」
「あれッ? これって、、、、プリの角だぁ!なんで、なんであるの?」
どこからともなく、プリの声が聞こえてきた。
「もう何も怖くないよね由結。ドラゴンフォースがついてるからww」